原発賠償の指針、9年ぶりに見直しへ。
原子力損害賠償紛争審査会で議論開始

原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は11月10日、東京電力福島第1原発事故を受けた国の賠償基準となる「中間指針」を見直す方針で一致しました。 
 これは、原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、中間指針を上回る東電の賠償責任を認めた高裁判決が相次いで確定したことを受けています。
原賠審ではこれにつき専門委員による調査がなされ、「判決等の調査・分析について」の最終報告が出されました。「中間指針」を見直す方針は、この報告に基づいたものです。

見直しの論点の内容は、
1.避難指示区域に指定された地域については、過酷避難状況による精神的損害、故郷喪失・変容による精神的損害、相当量の線量地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基礎を置く精神的損害、精神的損害の増額事由―の四つの論点で賠償基準や額を検討する。
2.放射線への不安と着の身着のままによる過酷避難での損害は、慰謝料を算定する上で独立した損害項目とするのではなく、加算要素とするかどうかを検討する。
3.ふるさとの喪失・変容を巡っては、変容による慰謝料が対象となっていなかったため、新たに追加できるか議論する。変容の具体的な内容については個別事情を考慮する。
4.自主避難による精神的損害では、賠償の対象となる時期の変更が必要かどうかを検討する。
5.子ども・妊婦に対する賠償基準については各判決と整合が取れているとの考えで、今後の見直しについては慎重に判断する。
 原賠審の内田貴会長は、見直し時期について「確定判決から8カ月ぐらい経過している。できるだけ早い時期に方針を出していきたい」と述べています。
 以上、新聞・テレビの報道等をまとめました。