福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2015年07月

最近の原発損害賠償に関する情報(2015年7月)

最近の原発損害賠償に関する情報(2015年7月)

最近の原発損害賠償に関する情報(2015年7月)

 ADRおよび訴訟による原発事故の賠償請求は、集団申し立てを中心に相次いで申し立てられています。
 集団申立てには、避難区域によって請求内容に違いが見られますが、いずれのケースも中間指針で定められた損害賠償基準を超えて損害賠償を求めるものが多くなっています。
 原発被害の賠償は、中間指針で定められた損害賠償基準に限定されるものではありません。東電に対する直接請求のほか、ADRや訴訟の道が残されています。
 損害賠償でお悩みの方やご不満がある方は、原発事故被害者支援司法書士団にご相談ください。
 原発事故被害者支援司法書士団では、原発事故被害を受けられた皆様のために「無料相談」を実施しています。
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福島第1原発事故:福島・浪江住民100人、集団提訴へ 帰還困難区域で初
毎日新聞 2015年05月14日 東京夕刊

原発事故の賠償請求、栃木の7千人が集団申し立てへ
2015.6.15 11:09産経ニュース

原発事故後に自殺、東電に2700万円賠償命令 福島
2015年6月30日朝日新聞デジタル

東日本大震災:福島第1原発事故 東電訴訟 避難者が追加提訴 京都、福知山の31人 地裁 /京都
毎日新聞 2015年07月08日

原発ADR:福島・渡利3107人申し立て
毎日新聞 2015年07月21日

福島の牧場、国と東電に損賠提訴 原発事故で堆肥売れず
2015年7月23日朝日新聞デジタル

102歳男性の自殺は原発事故が原因として遺族が東電提訴 福島
07/29(福島テレビ)

「避難したくねえ」原発事故で102歳自殺、東電を提訴
2015年7月29日朝日新聞デジタル

 
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

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原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(2/2)

原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(2/2)
原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(2/2)

集団申立てが増加傾向。
集団申立てには、避難区域によって違いが見られます。

①居住制限区域や避難指示解除準備区域の申立人
 …………帰還困難区域の住民と同等の賠償を求めるケース

②特定避難勧奨地点を含む行政区内に居住していたが特定避難勧奨地点に設定されなかった申立人
 …………特定避難勧奨地点に設定された世帯と同等の賠償を求めるケース

③旧緊急時避難準備区域から避難した申立人
 …………平成24年9月以降の精神的損害等の賠償を求めるケース

④自主的避難等対象区域の申立人
 …………避難指示区域の住民と同等の賠償を求めるケース、

⑤精神的損害の一律増額を求めるケース

 上記のいずれのケースも中間指針で定められた損害賠償基準を超えて損害賠償を求めるものが多くなっています。

中間指針で定められた損害賠償基準について

 活動状況報告書は、中間指針で定められた損害賠償基準について、次のような見解を示しています。
「中間指針は、賠償すべき損害として一定の類型化が可能な損害項目やその範囲等を示したものであるから、中間指針で明記されなかったものでも、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められれば賠償の対象となり得ることは当然であり、和解仲介手続においては、申立人の主張・立証に基づいて、これら個別具体の事情による損害を認定して損害額を算出していくことになるが、中間指針で明記されていないものについては、その主張・立証を的確に行うには、一定の法律知識が必要となる。」
 つまり、原発被害の賠償は、中間指針で定められた損害賠償基準に限定されるものではないが、ADRに申し立てにあたっては、相当因果関係について主張・立証しなければならないとしています。

 活動状況報告書では、平成 26 年の申立状況に関し特筆すべき点として、「 集団申立て、中でも申立代理人を付さない本人による集団申立ての急増」を挙げています。
 報告書によると、「申立代理人を付さない本人による集団申立ては、平成25年後半から増加傾向にあったが、平成26年においてもその傾向は続き、特に、避難指示区域外の地域の行政区長等が地域住民をまとめて申立代理人を付さずに集団申立てを行うケースが増加した。また、平成266 年に入ってからは、本人による集団申立てを含め、集団申立てが大規模化する傾向もみられ、申立人の人数が数千名に及ぶような規模の、大規模な集団申立ても複数申し立てられている。」としています。


 集団申し立てが増加傾向にある背景としては、訴訟に比べて、ADRは被害者の負担が比較的軽いことや、解決までに要する時間が短いこと等が考えられます。
 ただ、ADRには、和解案が提示されたとしても、案には拘束力がなく、東電が拒否した場合には解決に至らないという弱点があります。
 そうしたケースとして、浪江町の町民約1万5500人が慰謝料の増額を求めた和解仲介手続き(ADR)があげられます。
 申立では、原子力損害賠償紛争審査会が定めた慰謝料・月額10万円の指針に対し、避難生活の長期化などを理由に「一律25万円」増額し35万円の支払いを求めました。これに対し、原子力損害賠償紛争解決センターは、平成26年4月、「一律5万円増」とする和解案を示しました。
 浪江町の被害者の方々は同意しましたが、東電は6月に一部を除き拒否すると回答。センターは東電に和解案受諾を求めましたが今のところ拒否の姿勢を崩していません。

 2015年7月2日(共同通信)によれば、ADRの長期化に伴い、5月末までに申立人のうち、高齢者や避難生活で体調が悪化した人ら、343人が和解を見届けずに死亡しています。
 ADRの利点が、訴訟に比べて被害者の負担が比較的軽いことや、解決までに要する時間が短いこと等であるならば、東電の姿勢は、制度をないがしろにするものです。東電は、速やかに和解案の受け入れをすべきです。
 平成26年8月4日付の原子力損害賠償紛争解決センター「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」では、次のように、東電に対し強く和解案の尊重を求めています。
 
「近時、仲介委員が提示した和解案に対し、被申立人から、その全部又は一部について受諾を拒否する旨の回答がされる例が少なからず認められるようになっているが、被申立人において、上記ホームページ記載の理由によりそのような回答に至っているのだとすれば、新・総合特別事業計画において自ら誓約した和解案の尊重を放棄するものというだけでなく、仲介委員が提示した和解案の内容のみならず和解仲介手続自体をも軽視し、ひいては、原子力損害の賠償に関する紛争につき円滑、迅速かつ公正に解決することを目的として設置された当センターの役割を阻害し、原子力損害の賠償に関する法律が定める損害賠償システム自体に対する信頼を損なうものといわざるを得ず、まことに遺憾であり、強く再考を求めるものである。」

 さらに、活動状況報告書では、大規模の集団申立てについての東電の立場を次のように述べています。
「特に、東京電力は、全件に共通する被申立人の立場にあり、本件事故の深刻さ、重大さに鑑みれば、大規模な集団申立てがされることも当然予見し得たことであるから、上記のような集団申立てについても、迅速な解決の実現に向けて積極的な協力をすることが求められる。」

 これに対し、東電は、今に至っても拒否の姿勢を崩していません。

活動状況報告書(平成26年)
                    (いしかわ)
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原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(1/2)

原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(1/2)

原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書の概要(1/2)

 原子力損害賠償紛争解決センター活動状況報告書~平成26年における状況について~(概況報告と総括)と代する活動状況報告書が、平成27年2月に原子力損害賠償紛争解決センターから公表されています。
 その内容を簡単に報告します。

申立の概要
 その報告書によると東電原発事故損害賠償請求に関する裁判外紛争解決手続き(ADR)の申立件数が増加しています。
 
申立件数は 5,217 件となり、平成25年の28%増、平成23年9月1日からの累計では、平成26年末には 14,371 件、となりました。
 裁判外紛争解決手続き(ADR)の申立人数については、平成26年の申立人総数は 29,534人、 平成25年の14%増となっています。
 個人申立てと法人申立ての比率は約4対1です。
 司法書士、弁護士等が代理人となった申立ては、平成25年は全申立件数の3分の1、33%でしたが、平成26年は、39%に増加しています。

(注:申立件数の計上方法について、平成 26 年5月に変更があり、代理人が付されていない本人による集団申立てについては、同じ日に申立書が提出されたものを併せて1件とし計上。)

 申し立てた被害者を住所地別に見ますと、原発事故時の住所が福島県内にあった方からの申立てが全体の8割程度を占めています。また、申立時に福島県内に住んでいた方の申立てが過半数となっています。

 平成26年の申立てを損害項目別に見ますと、全申立ての半数弱が避難費用及び精神的損害の申立てです。検査費用の申立て割合及び除染費用の申立て割合が平成25年に比べて増加しています。
 損害項目別増加率は、避難費用(1,531 件から 2,158 件へ 41%増)、精神的損害(1,749件から 2,382 件へ 36%増)及び除染費用(332 件から 590 件へ 77%増)でした。

          (いしかわ)

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仮設住宅から、新しい暮らしへ ―福島市仮設住宅および復興住宅訪問リポート(終)―

復興方針の転換・『町外コミュニティ(仮の町)』構想

復興方針の転換・『町外コミュニティ(仮の町)』構想
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 当初、政府は避難指示区域の住人に対し「全員帰還」を復興方針として示していた。その後、「町に戻らない」選択をした住民のための支援策を含む復興方針に大きく転換された。
 背景には、「町に戻らない」と決断した住民が増加している事実がある。該当市町村が行った住民意向調査では、いずれの町村も住民の約半数が「町に戻らない」と回答している調査結果が報告されている。
 背景には、帰還困難区域では線量が高く、除染も進んでいない等、自然環境が帰還できる状態にまで回復しておらず、その見通しすら立っていないことや、仮に、除染が進み、線量が生活に適したレベルまで下がったとしても、その先、公共機関の整備、病院、商店等の生活機能の整備等、元の生活に近い環境を取り戻すには気の遠くなるような過程が必要になるであろうという見通しがある。
 避難が長期に渡るという、歓迎できない現状を考慮すると、長期避難者のために、安定的な生活の基盤を整備することは喫緊の課題であり、また、現実的な選択肢でもある。そうした側面からは、政府の復興方針の転換は不可避であったといえる。

 その復興方針の転換となった、平成 25 年 12 月 20 日付原子力災害対策本部「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」の一部を抜粋して下記に掲載する。

平成 25 年 12 月 20 日付原子力災害対策本部
「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」(抜粋)

「(1)早期帰還支援と新生活支援の両面で福島を支える
 避難指示区域の見直しがすべて完了し、事故後3年となる来春以降、避難指示の解除が順次具体化すると見込まれている。こうした中、帰還を実現するために帰還後の雇用機会の確保やきめ細かな健康不安対策を求める声がある一方で、線量が高く帰還が容易ではない地域の住民の方々を中心に、故郷を離れ新たな生活を開始するための支援を求める声も顕在化しつつある。避難指示解除に向けた準備を始めた自治体がある一方で、帰還する意向がないとの住民の方々の声が大きくなりつつある自治体もある。
 このように、事故発生から2年9か月が過ぎ、いつかは故郷に戻り故郷を再生させたいという思いと、生活を安定させるためには新しい生活拠点を定めざるを得ないという現実が混在している。この複雑な思いに応えていくためには、国は、復興の基本である帰還支援を大きく拡充・強化する
だけではなく、故郷を離れて新しい生活を開始する住民の方々のための支援策も用意していかねばならない。
 このため、国は、住民の方々や地元自治体が将来に向けて新たな一歩を踏み出すことができるよう、帰還支援と新生活支援の2つからなる支援策を提示する。これを踏まえ、国は、実情に即した福島再生を地元とともに具体化していく。」

「移住先での住居再取得と、当面の生活資金を確保できる賠償の仕組み
(1)故郷に帰還できない状態が長期化する地域等の住民が新しい生活を始めるために必要十分な賠償

原子力損害賠償紛争審査会において、新たな指針を策定し、以下の賠償を追加する。
・ 住居確保に係る賠償
帰還困難区域等の住民の方々や個別の事情により他所で新しく生活拠点を定める必要がある住民の方々に対して、移住先等での宅地・住宅の取得に必要な費用について賠償を追加
・ 精神的損害の賠償
帰還困難区域やそれに相当する帰還見通しの立たない居住地の住民の方々に対して、見通しのつかない長期間にわたり帰還できないことに対する精神的損害を一括で賠償

(2)復興拠点の整備
 避難指示が継続することにより、故郷に帰還できない状態が長期化する地域等の住民の方々のための生活拠点の整備を求める声に応えるため、これまで進めてきた避難期間が長期に及ぶ避難者等のための町外の生活拠点の確保に加え、福島再生加速化交付金を活用し、町内復興拠点の整備などを進める。これにより、コミュニティの維持を図りながら新たな生活を始めることの一助とする。」


 上記の方針に基づいて、国は、2013年度予算で「コミュニティ復活交付金(長期避難者生活拠点形成交付金)」を創設、長期避難者のため、災害公営住宅の整備を中心とした生活拠点の形成を促進している。

 具体的な構想の中心となっている「町外コミュニティ(仮の町)」構想の目的は、コミュニティを維持しつつ、住民の権利を守ることにある。
 馬場有浪江町長は、広報なみえ平成27年4月号で、『震災から5年目に向けての平成27年度は「町民それぞれの選択が可能となるよう、町の復興する姿を具体的に示し、町内外に発信する」ことを方針とし、町民同士の絆を維持する事業、町民の健康を守る事業、町民活動や生活再建を支援する事業等の生活支援事業を重要な位置づけと考え実施します。』(町長メッセージ―・あれから5年目に向けて)との考えを示している。

 現実には、困難な課題も多い。町の存続のための住民登録の問題、また、除染・中間貯蔵施設や町の自治の問題など、実効性を持った復興計画の実施には数々の問題が立ちはだかる。
 こうした困難にどう立ち向かっていくべきかという問いに対しては、そう簡単に答えの出るはずもない。
 重要な事は、未来の世代のためにも、決して希望を失わず着実に歩を進めることではないだろうか。  

                   (いしかわ) 
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仮設住宅から、新しい暮らしへ ―福島市仮設住宅および復興住宅訪問リポート(6)―

復興公営住宅八山田団地1号棟

復興公営住宅八山田団地1号棟
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平成25年12月、帰還を前提とした政府の復興方針が、故郷を離れて新しい生活を開始する住民の方々のための支援策も含む復興方針に大きく転換された。
 その方針に基づき、政府は「コミュニティ復活交付金(長期避難者生活拠点形成交付金)」を創設、復興住宅(災害公営住宅)の整備を中心とした生活拠点の形成を促進している。

 そうした政策の一環として、郡山市富久山町八山田の「八山田団地」も構想され建設される。入居の対象者は、帰宅困難区域及び帰宅困難区域を含む町村の被災者だ
 合計3棟が建設される予定で、うち「八山田団地1号棟」は、平成26年11月に完成。最初の入居者は20世帯すべて双葉町民が予定されている。私達が訪れた時には、多くの部屋は空き部屋だったが、遠くない時期に順次、入居が予定されてるとの事だった。

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1号棟は、鉄筋コンクリート造3階建で、2LDKと3LDKの2タイプ。エレベーターも設置されている。屋上には太陽光発電のためのソーラパネルが設置され、入居者のために電力が供給される。

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 建設中の八山田団地2号棟は、平成27年9月から入居が可能になる予定。鉄筋コンクリート造5階建で1号棟と同じく、2LDKと3LDKの2タイプ合計40戸が建設される。1棟・40戸のうち、20戸分は富岡町、大熊町、双葉町、浪江町の4町共通枠、20戸分が浪江町枠として入居者に提供される。

 八山田団地3号棟は、鉄筋コンクリート造5階建で40戸、
平成28年3月から入居が可能になる予定、大熊町、浪江町の町民が入居の対象者だ。

                   (続く いしかわ) 
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