福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2015年10月

田村市都路の避難解除区域 -帰還をためらう人々(1)-

田村市都路の避難解除区域 -帰還をためらう人々(1)-

都路3

 都路の避難解除区域の住民の帰還が進む一方、約3割の住民は帰還を果たしていない。田村市福祉の森公園応急仮設住宅に住み続ける入居者もその一部だ。
 森公園応急仮設住宅の全戸数は37戸、田村市都路の避難解除区域の避難者が入居していた。7月現在では、6世帯7人が暮らしている。その殆どが高齢者だ。5世帯は震災の前から一人暮らしだ。入居者が約6分の1に減少した仮設住宅は、当然の事ながら空き室が目立ち、かつての活気はない。
 大玉村の復興住宅と同様、この仮設住宅でも、高齢者の安否確認のため、朝、本人が黄色い旗をたて夕これを取り込む、という方法がとられている。朝、旗が出ていないか、夕に取り込まれないままになっているかすると、「何かあったのか。」と人が駆けつけるというシステムだ。
都路4

 住人が少なくなった仮設住宅で安否確認や孤立の防止を漏れ無く行うためには、通常の仮設住宅よりもよりきめ細かな住民サポートが行政に求められる。入居者の話では、帰還を含む、これからの生活設計や復興計画などについての行政からの説明は、今年に入ってからは無いそうだ。
 ボランティアの役割も重要な要素だ。被災者は、ここに入居した当時、数多くのボランティアに励まされたという。そのボランティアの人達も、今はほとんど訪れないという。
 住民の今後の生活設計も一様ではない。一般の公営住宅あるいは復興住宅に移り住もうとしている人がいる一方、この仮設住宅に住み続けたい考えている人もいる。都路町の旧避難指示解除準備区域にある自宅に帰還しようと考えている人は、ここに住み続けている避難者の中には今のところいない。除染への不信感、防犯上の不安、生活水への不信感等が帰還することをためらわせているのだ。
 仮設住宅の入居者は数人に減少したが、少人数ゆえの結束があるという。今後、もう一ケ所ある仮設住宅と統合が進められるという話も漏れ聞くという。実現すれば、再び移動しなければならない。
 この仮設住宅のみならず、被災者が安定して住み続ける生活環境は、いつ手に入るのだろうか。

                   (いしかわ) 
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

ご相談ください!原発事故被害者支援司法書士団の「無 料 相 談」
フリーダイヤル0120-440-744
(受付時間:月~金(祝日を除く)10:00~16:00)

 

田村市都路の避難解除区域、帰還進む

田村市都路の避難解除区域、帰還進む

 報道によれば、福島県田村市都路町の旧避難指示解除準備区域(112世帯・339人)の帰還者は、8月末現在で76世帯・198人、67.9%に増加した。福島民報 9月12日 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150912-00000034-fminpo-l07

 田村市都路地区の一部(福島第一原発から半径20キロ圏内)は、平成23年に起きた福島第一原発事故に伴い、同年4月22日に警戒区域に指定された。
 1年後の平成24年4月1日には、警戒区域が解除され、避難指示解除準備区域に再編され、昨年、平成26年3月10日、政府は避難指示を4月1日付で解除することを決定した。
 平成27年4月2日付朝日新聞は、「住民の半数以上がすでに帰還したか今月末までの帰還を予定していることがわかった。昨年4月末と比べると、世帯数で2倍、人数で3倍にのぼる。」
「住民が戻る時期は①帰還準備のための長期宿泊が始まった2013年8月(14世帯31人)、②避難指示が解除された14年4月(9世帯24人)、③今年3~4月(12世帯53人)に集中していた。」と報じている。
 今年に入って、帰還した住民が急に増加したのは、早期帰還者への賠償金の上乗せが、その背景にあるのは間違いない。東電のプレスリリースによれば、3月末までに帰還すれば「避難指示の解除後に早期(解除後1年以内)に避難先から帰還される方々が直面する生活上の不便さに伴う追加的費用につきまして、お一人さまあたり90万円を賠償」するとしている。
 帰還率67.9%は、高い数字だ。他の同じような地域、例えば楢葉町や広野町等は、住民の実質的な帰還率は、低い状態にあるのが現状だ。

都路1
 同地区を訪れると、
新築や改築された家屋が目立つ。
 被害者は、原発事故から長い間の避難を強いられた。そのため、主のいなくなった家屋は、雨漏りや換気が十分に行われないため生じる湿気、はびこるネズミの害や生い茂る雑草などで、相当のダメージを受けた。帰還し、新たな生活を始めるためには、荒れ果てた住居を修理する等、新生活に適合した生活環境を再構築する必要があるのだ。
 帰還後の新生活は、一朝一夕で元のレベルに戻せるものではない。一度崩壊したコミュニティーの再構築は、ゆっくりと長い時間が必要だ。
都路2
(写真 2015年7月)
 住居の密集する部落が面する国道の反対側の一部の田には、苗が植えられ、
農業が再開された兆しが見て取れる。

                   (いしかわ) 
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

ご相談ください!原発事故被害者支援司法書士団の「無 料 相 談」
フリーダイヤル0120-440-744
(受付時間:月~金(祝日を除く)10:00~16:00)

 

最近の原発損害賠償に関する情報(2015年10月)

最近の原発損害賠償に関する情報(2015年10月)

 ADRおよび訴訟による原発事故の集団申し立ては、その規模を拡大させています。
賠償請求の多くは、原発事故により避難生活を余儀なくされたために生じた精神的苦痛に対して損害賠償を求めるものです。
 東電に対する損害賠償請求では、中間指針で定められた損害賠償基準という壁がありますが、最近の訴訟やADRでは、新たな理論構成でその壁を打ち破ろとする動向が見られます。
 原発被害の賠償は、中間指針で定められた損害賠償基準に限定されるものではありません。
 損害賠償でお悩みの方やご不満がある方は、原発事故被害者支援司法書士団にご相談ください。
 原発事故被害者支援司法書士団では、原発事故被害を受けられた皆様のために「無料相談」を実施しています。
 お悩みの方、ぜひ、ご相談ください。(下記フリーダイヤルにお電話ください。)


憲法学者・木村草太氏「ノーニュークス権」掲げる「原発メーカー訴訟」原告団にエール
 東芝、日立等原発メーカーを被告として、原発事故の責任を問う「原発メーカー訴訟」原告団が、東京・永田町の参議院議員会館で、憲法学者の木村草太・首都大学東京准教授を招いて勉強会を開いた。
 今回の裁判で、原告団は、個人には、原子力の恐怖から免れて生きる権利(ノーニュークス権)という人権があることを裁判所に認めさせたい、としている。

2015年07月14日弁護士ドットコムニュース


東日本大震災:福島第1原発事故 原発ADR、渡利3107人申し立て 「高線量地点と同等に」
 東電原発事故による精神的苦痛を受けたとして、1人月10万円(線量の高かった事故発生から半年間は月20万円)の慰謝料を求め、福島市渡利(わたり)地区の住民3107人(1107世帯)が、裁判外紛争解決手続き(原発ADR)を申し立てた。

毎日新聞 2015年07月21日


〔焦点〕-拡大する福島原発訴訟、国と東電の賠償額増える可能性も
  東京電力 福島第1原発事故関して全国で20以上の訴訟が提起され、原告数が約1万人規模に拡大してきた。

2015年 08月 17日ロイターNews


原発事故訴訟で追加提訴 県内や都内の自主避難者ら窮状訴え
 原発の事故により避難生活を余儀なくされ精神的苦痛を受けたとして、福島から埼玉県および東京都に避難している世帯22人が25日、慰謝料の一部など計2億4200万円を求めてさいたま地裁に追加提訴した。

2015年8月26日埼玉新聞


原発事故関連死 東電、請求棄却求める 因果関係示す証拠要求 飯舘102歳自殺 口頭弁論
 東電原発事故で避難を迫られ、将来を悲観し自殺したとして、東電に約6000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)であった。
 東電側は請求棄却を求める答弁書を提出し、原発事故と自殺の因果関係について事実を裏付ける証拠を明らかにするよう原告側に求めた。

2015/09/16福島民報


和解仲介を申し立て 伊達市月舘町の住民ら1277人
 10月6日伊達市月舘町の住民ら417世帯、1277人が1人月10万円の慰謝料を求め、原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介を申し立てた。
 住民は、月舘町は全村避難した飯舘村、特定避難勧奨地点が複数指定された同市霊山町に接しており、従来の生活ができなくなった不安や苦痛は変わらないと主張している。

2015年10月07日福島民友ニュース 

      (記事の要約は、筆者がしたものです。 いしかわ)
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

ご相談ください!原発事故被害者支援司法書士団の「無 料 相 談」
フリーダイヤル0120-440-744
(受付時間:月~金(祝日を除く)10:00~16:00)


大玉村の復興住宅建設 -仮設住宅自治会が主導した復興住宅建設の今-(2/2)

復興住宅建設計画の実現までの経緯とこれから

 
復興住宅建設計画の実現までの経緯
 自治会の活動がどのようなものであったか、復興住宅建設計画の実現までの経緯を簡単に振り返ってみたい。

 平成25年ごろ、避難者のための復興住宅(正式には災害公営住宅)の建設計画は、ほとんど国・県・自治体の主導で進んでいた。仮設住宅の自治会は、隣接地に自分たちが住む復興住宅を建設したいという住民の意向である要望を国、福島県、富岡町に提出。
「富岡町大玉村出張所だより」4月号では、3月30日に開催された同自治会の総会の模様を伝えている。その記事の中では、鎌田自治会長が「仮設住宅の住民の一部から、大玉村内に復興住宅を建設して欲しいという声があり、根本復興大臣に、大玉村に災害復興住宅建設の要望書を提出した」との報告記事が写真とともに載せられている。

 自治会では、復興住宅建設のために住民の意向調査を記名式で2回行っている。
一回目は25年3月に、これから大玉村に住む希望があるか否かを知るためで、その結果は、約100戸から回答があり、住むことを希望したのは80戸であった。
 5月に二回目の意向調査を実施、「大玉村に建設する復興住宅に住む希望」があるかという問いには、83戸(約100回答)が希望し、17戸は住まない意向を示した。どちらの調査も回答率は50%で、約半分の仮設住宅の入居世帯から回答はなかった。
 自治会長の鎌田さんは、「神淡路大震災のとき、復興住宅に移り住んだ後、孤独死が多発し問題になったことを聞いている。大玉村に復興住宅が出来て、住民の一部が移り住んだ後、仮設に残された人たちを行政はちゃんとフォローしてくれるのだろうか」と回答のない残りの50%100世帯の人たちのこれからの行く末を心配していた。
 その後、大玉村は、平成25年10月21日に開いた村議会で、26年度中の着工・完成を目標に災害公営住宅の整備を進めていくことを決定した。
 建築形態は、県の案では集合住宅が主であった、自治会の要望により、平屋建、2階建て、2戸1棟型(メゾネット方式)となった。 
 こうした経緯を経て、要望は実現へと向かった。

 現在の、入居希望世帯は計画前の住民世帯の約35%と報道されている。
 入居希望者の内、半分は一人暮らしで、1人か2人暮らしが大半だということである。年齢は65歳以上がほとんどで75歳以上の方も多いという。
 復興住宅に入居せず、仮設に残る人の年齢構成等は不明だということだが、やはり高齢者が多いと思われる。
 富岡町でも仮設に住み続ける人の今後の動向を気にしており、今後どうしたいかのアンケートを夏から秋ごろにとる予定という。その時に富岡町内に計画している復興住宅への希望も聞くそうである(以上7月13日富岡町大玉出張所に電話で取材)。
大玉5
建設予定地:2013年10月
大玉6
 大玉7
大玉8
建設中の復興住宅


これから。
復興住宅へ移る人も仮設に残る人も、高齢で一人暮らしの人が多い
 自治会長の鎌田さんのお話では、復興住宅に住む人も仮設に残る人もひとつの自治会でやっていく、今後も以前と同じに活動を続けていく。大玉村との関係も見守り隊も黄色い旗も続けていくとのことであった。なお会長ご自身は、仮設を出て他にお住いだが、今でも自治会には通い続けているいうことである。

 以前の取材で、仮設の50パーセントの人がアンケートに回答がないと聞いたときの感想を私はこう述べている。
「仮設住宅から出て行かなくてはならない時はそんなに先ではありません。実際少しずつ仮設からは人が減ってきています。最後に残るのは、老齢者等のもっとも弱い人ではないでしょうか。今もそうですが、孤立や・自殺が今後ますます増えることが危惧されます。もの言わぬ沈黙の人をこれからどう支援していくかは大きな課題です。」
 その感想は、今でも変わらない。
 これから、多くの仮設と復興住宅で起こるであろう、高齢・独居・孤立の問題に、どう立ち向っていくのか。考え続けたい
                   (さくらい) 
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

ご相談ください!原発事故被害者支援司法書士団の「無 料 相 談」
フリーダイヤル0120-440-744
(受付時間:月~金(祝日を除く)10:00~16:00)

アクセスカウンター

    原発賠償の無料相談







    原発事故被害者支援司法書士団


    ADR支援無料相談



    原発事故被害を受けられた皆様へ
    お悩みの方、ご相談ください。福島原発事故に基づく損害賠償請求等をサポートします。



    フリーダイヤル
    0120-440-744
    (受付時間:月曜日~金曜日
    (祝日を除く)10:00~16:00)






    • ライブドアブログ