相続手続きはお早目に |
相続手続きはお早目に
東日本大震災と、それに伴う原発事故から5年がたちました。
東北地方では、震災によって様々な問題が発生しています。
相続問題はその一つです。東京電力の不動産賠償においては、原則として 平成23 年3月 11日時点の不動産所有者に対して賠償がなされます。所有者が誰かは、登記簿上の所有者で判断されますが、相続登記が未了の不動産が多く存在することはご存じのとおりです。東京電力の賠償は、相続登記未了の不動産に対しても、ある一定の条件をクリアすれば取り敢えずなされることになります(下記東電プレスリーリース参照)。
東京電力に不動産賠償請求するにせよ、しないにせよ、いずれにせよ、相続手続きは早めに進めるべきです。というのは、たとえば不動産については相続の登記がなされなければ、売却や担保に入れてお金を借りることは困難になる等、様々な問題が発生する可能性があるからです。底地が未登記のままでは、金融機関からお金を借りて新築住宅や工場、お店を建築することが難しいということです。このように、相続手続きは、被災者の生活再建とも密接に関係しています。
また、後で述べますように登記未了のまま長く放置しておきますと、さらに相続人が死亡することで関係者が増え、遺産分割することが段々難しくなっていきます。例えば、亡きAさんの相続人である子Cさんがさらに亡くなりますと、Cの配偶者と子が関係者(数次相続人)となり、この人も含めて遺産分割しなければならなくなります。もし子が亡くなってまた孫も亡くなっていますと、相続人が全部で数十人になるということも稀ではありません。ですから早めの手続きが望ましいのです。
福島県や東北地方ではまだまだ未登記のまま放置されている不動産も多数あるそうです。
そこで、相続問題に対しての一般的な知識や相談のケース、東電の取り扱いなどをまとめてみました。
東京電力の賠償請求手続きに係る相続の取り扱い
プレスリリース 2013年
宅地・建物・借地権等の賠償に係るご請求手続きの開始について
平成 25年3月29 日
「*4 相続登記がされていない不動産については、原則として、相続人の方全員を戸籍謄本などで確定していただき、遺産分割協議書や相続人の方全員の同意書によ り、ご請求者さまが当該不動産を所有されている、もしくは損害賠償請求権をお持ちであることを確認し、その持分割合に応じて賠償させていただくことになり ますが、上記の他にもご所有を確認させていただく方法について、一定の条件を満たす方を対象に緩和措置(原則二親等以内の相続人の同意書、公正証書による ご確約など)を実施させていただく予定です。相続等の登記がお済みでない資産については、今回の賠償では一旦保留とさせていただきます。」
*注:緩和措置…下記参照
プレスリリース 2013年
田畑に係る財物賠償に関するご請求手続きの開始について
平成 25年11 月29日
別紙2 田畑の所有の確認方法について
田畑の所有の確認方法について
原則として固定資産課税情報と登記情報の「所在」と「面積」を合致させたうえで、納税義務者名義および登記名義の一致を以て対象となる田畑を所有していることを確認させていただきます。
なお、以下の理由により田畑の所有が確認できない場合につきましては、代替の証明書類で所有の確認をさせていただきます。
1.売買による所有権移転登記がお済みでない場合
不動産売買契約書により所有の確認をさせていただきます。
2.相続登記がお済みでない場合
遺産分割協議書や相続人全員の同意書により、所有の確認をさせていただきます。
なお、相続人全員の同意確認が困難な場合の対応として、次の方法もご用意しております。
(1)農地基本台帳等による方法
以下の2点全てに該当し、「当該田畑について他の権利を主張される方がいないこと」をお約束いただける場合、当該田畑を相続により取得されたものとして、賠償させていただきます。
・ご請求者さまが当該田畑の固定資産税納税義務者となっていること
・当社事故発生日時点に、ご請求者さまが当該田畑の所有者であることを農地基本台帳もしくは耕作証明書(筆別表含む)で確認できること
(2)二親等以内の同意を得る方法
以下の4点全てに該当し、「当該田畑について他の権利を主張される方がいないこと」をお約束いただける場合、当該田畑を相続により取得されたものとして、賠償させていただきます。
・ご請求者さまが当該田畑の固定資産税納税義務者となっていること
・ご請求者さまから二親等以内の相続人全員が同意していること
・当社事故発生日時点に、ご請求者さまが当該田畑の耕作者であることを農地基本台帳、耕作証明書(筆別表含む)、水稲生産実施計画書のいずれか一つで確認できること
・ご請求いただいてから(当社へご請求書が到着してから)3ヶ月間、他の相続人からの請求がないこと
(3)法定相続分による方法
ご請求者さまに、戸籍謄本により相続人全員を確定していただき、法定相続分に応じて賠償させていただきます。
(4)公正証書による方式
ご事情により他の相続人さまからの同意書をご提出いただけないご請求者さまについては、公正証書でのお約束(履行いただけない場合の法的措置に関する同意を含みます)による方法もご用意いたします。
(さくらい&いしかわ)
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