福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2016年06月

原発損害賠償と相続(Part2―2)

相続手続(登記等)Q&A:遺産はどう分けたらいいのか。
「遺産はどう分けたらいいのですか。」
こういう質問をよく受けます。おおむね、遺言書があればこれに従い、ない場合は相続人全員の話し合いで決めます。決める際のひとつの目安として法定相続分が民法で定められていますが、全員が合意すれはいかように決めてもかまいません。極端な例として、Bさんに全部Cさんは何も貰わない、でもいいのです。
 それでは、まず法定相続分 (単に相続分ということがあります )について具体例でみていきましょう。


法定相続分
 
Q:子供と配偶者が相続人の場合。
  Aさんが平成23年8月に亡くなりました。配偶者Bと子C、Dがいます。この三人が相続人ですが、それぞれの法定相続分はどうなるのでしょうか。
A:法定相続分は、遺言によって相続分が指定されていない場合に遺産分割の目安となるものです。
子供と配偶者が相続人である場合は、子供・配偶者共に相続分は2分の1ずつです(昭和56年1月1日以前の相続の場合は持分が異なります。)。子供は何人いても全員で2分の1です。夫々の持分は均等ですから 子C、Dさんは各4分の1ずつとなります。非嫡出子の相続分も嫡出子と均等になったことは前にお話しました。
この法定相続分を基準に分割する具体例を挙げてみましょう。亡きAさんの遺産が2000万円の土地・建物と預金2000万円とします。これを配偶者Bが土地建物を、子供C、Dが預金を夫々1000万円ずつ取得すると決めるといった具合です。

Q:Aに子供がおらず、配偶者BとAの父・母が相続人の場合、それぞれの法定相続分はどうなりますか。
A: この場合は、配偶者Bの相続分は3分の2、父母(直系尊属)の相続分は3分の1です。(昭和56年1月1日以前の相続の場合は持分が異なります。)。直系尊属が数人いる場合は3分の1を均等に分けますので、父母はそれぞれ6分の1ずつになります。このケースで、父は先に亡くなっていますと母のみが相続人となります。仮に父方の祖母が生きていても同じです。

Q:配偶者と
亡くなった方の兄弟姉妹が相続人である場合は、法定相続分はどうなりますか。
A:配偶者の相続分は4分の3兄弟姉妹の相続分は4分の1です(昭和56年1月1日以前の相 続の場合は持分が異なります)。兄弟姉妹が数人いる場合は4分の1を均等に分けます。(ただし、父母の一人だけが同じである兄弟姉妹は父母の双方が同じである兄弟姉妹の相続分の2分の1です。)。たとえば、被相続人の兄弟姉妹がEとFとしますと、配偶者は4分の3、E、Fはそれぞれ8分の1ずつになります。
もし、Fが被相続人と父親が異なっていた場合は、FはEの半分の相続分となりますので、E12分の2、F12分の1となります。血の濃さが半分だから、取り分も半分になるということです。
 なお、兄弟姉妹のみが相続人の場合は、各人が均等で、父母を異にする者は、他の兄弟姉妹に比べて半分になります。


参考までに民法の条文を下記に掲載しました。 

900  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、左の規定に従う。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
                   (さくらい&いしかわ)                        

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原発損害賠償と相続(Part2―1)

相続手続(登記等)Q&A
相続には色々なケースがあります。各々のケースで手続きは変わってきます。しかし、基本的な考え方は共通です。
 具体的なケースを想定して、相続の基本的な考え方・手続きをQ&A形式でまとめてみました。

例:Aさんが平成23年8月に亡くなりました。妻と子がいます。  
  • 相続人は誰? ①胎児②子供
 Aさんが平成23年8月に亡くなりました。相続人は誰でしょう。それは民法886条に定められています。Aさんの配偶者Bさんは常に相続人になります。他の相続人には相続の順番が定められています。子が第一順位です。直系尊属(父・母等)は第2順位、兄弟姉妹は第3順位の相続人です。前の順位の人がいると後の順位の人は相続人になりません。子がいれば父母や兄弟姉妹はならないのです。ここまでは多くの人がご存知と思います。それでは、最初のQ&Aです。

1.子供について。
Q:非嫡出子に相続権はありますか?
A:亡くなったAさん (被相続人) の子供は、嫡出子、養子、非嫡出子を問わず第一順位の相続人です。ただし、非嫡出子の相続分は民法では嫡出子の半分とされてきました。しかし、最近の最高裁判決でこの規定の違憲判決が出ましたので、現在は同じ相続分とされています(注)。 
 (注)平成 以前に遺産分割された場合は該当しません。
Q:未認知の子に相続権はありますか?
A:未認知のままでは、相続人になりません。認知されることが必要です。

Q: 妻のBさんはAさんの子を懐妊しています。生まれていない子 (胎児) も相続人になります。
胎児も生きて生まれれば、相続人になります(民法第 886条)。ですので、生まれてくるまで遺産分割は待っていた方よいのです。しかし、なされてしまった場合はその分割は有効となります。その場合、生きて生まれた子は、相続人として原則金銭で他の相続人に相続分の返還を請求することになります。
 なお、参考までに民法の条文を下記に掲載します。
民法第 886
  • 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
  • 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、これを適用しない。 


例:Aさんが平成23年8月に亡くなりました。妻がいます。子はいません。 

Q:
子供がいないときは誰が相続人になるのですか?
A:配偶者がいれは常に相続人になりますが、子がいない場合は、第二順位として直系尊属(この間では親等の近いものから)、第三順位が兄弟姉妹です。
 被相続人の母が亡くなっていても、父がいれば父が相続人になります。この場合、母の父(祖父)は直系尊属ですが、相続人になりません。親等の近いものから相続します。
 直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。



例:Aさんが平成23年8月に亡くなりました。妻がいます。亡くなったAさんの子CさんはAさんより先に亡くなっています。

Q:
代襲相続って何?
亡くなったAさんの子CさんがAさんより先に亡くなっています。Cさんには妻E、子Fがいます。誰が相続人になりますか。
A:Aさんの孫Fも相続人になります。これを代襲相続といいます。亡くなったCさんの代わりに相続するのです。ご注意いただきたいのは、Aさんの妻Eさんには権利はありません。

Q:
亡くなったAさんの子Cさんが、Aさんより後に亡くなっています。Cさんには妻E、子Fがいます。誰が相続人になりますか。
A:子Fだけでなくこの場合は妻Eも相続人となります。前問では妻Eは相続人になりませんでした。何故でしょう。それは今回は一旦CさんがAさんを相続し、その相続権をCからEさんがさらに相続したからです。判りにくいですね。でも結論は覚えておきましょう。
「子が後に亡くなったら子の妻に権利あり。子が先に亡くなったら子の妻に権利なし」です。少し理不尽に感じる方もいるようです。なお余談ですが、韓国では子の配偶者に相続権を認めています(韓国民法)。
                   (さくらい&いしかわ)                               


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原発事故避難者の福島県内外への避難状況の概要

原発事故避難者の県内外への避難状況の概要

福島県のホームページ「ふくしま復興ステーション」に、平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報」が掲載されています。この情報は福島県災害対策本部が編集したもので毎週一回更新されています。最新の情報が網羅され現在の被害状況が得られます。
そのなかから、避難者の県内外への避難状況をピックアップしてみました。

参考:ふくしま復興ステーション
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報

県内への避難状況
仮設住宅 平成28年4月28日現在
入居戸数      9,097 
入居人数     17,227


借上げ住宅一般 平成28年4月28日現在
入居戸数  446
入居人数  945


借上げ住宅 特例(*1) 平成28年4月28日現在
入居戸数   12,788 
入居人数   27,818 
注) (*1)特例とは、自ら県内の民間賃貸住宅に入居した避難住民の賃貸借契約を県との契約に切り替え、県借上げ住宅とする特例措置

公営住宅 平成28年4月28日現在
入居戸数  216
入居人数  595


雇用促進住宅公務員宿舎等 平成28年3月31日現在
入居戸数       575
入居人数    1,720 


親戚・知人宅等 平成28年5月2日現在
入居人数   2,247


合計人数 50,602人 


福島県から県外への避難状況
 調査時点:平成28年5月16日(月)
復興庁からのデータ提供:平成28年5月27日(金)


住宅等(公営、仮設、民間賃貸等)29,360
親族・知人宅等11,910 
病院等262

合計 41,532

避難者の総合計は、92,134人です。

平成23年3月11日の東日本大震災と同時にに発生した東電福島第一原発事故により避難を余儀なくされ、5年以上経過した現在でも避難生活をおくられている方々は9万人以上いらっしゃいます
こうした長期にわたって避難されている方々は、未だに不自由な生活を強いられています。避難指示区域(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)は、一部の地域が解除され、今後数年間の間に、除染作業や日常生活に必要な電気、ガス、上下水道などの基礎的インフラが整備されるなど、復旧の進捗状況を見ながら解除される地域が拡大されることが予定されています
 故郷になるべく早く帰還することは、それを望まれている方にとっては、一日も早く実現されることが必要でしょうが、様々な課題は多く、それぞれ避難者の置かれた状況に応じたきめ細やかな支援が実施されることが必要です。 

政府は、5月31日 福島県内に出されている避難指示のうち、葛尾村は612日、川内村は614日、南相馬市はは7月12日に、それぞれ解除することを決定しました。 
今回の解除により、川内村では避難指示がすべて解除されますが、葛尾村と南相馬市の「帰還困難区域」は、避難指示が維持されます。

参考:復興庁HP:全国の避難者等の数



                    (いしかわ)
                               
(※このコメント記事は執筆者個人の見解であり、原発事故被害者支援司法書士団を代表するものではありません。) 

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