福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2016年09月

南相馬市避難指示解除―避難者それぞれの選択― Part1(2)

元司法書士佐藤さんの選択(1)

元司法書士佐藤さんの選択(1)
相馬野馬追は、相馬小高神社を含む3つの神社の祭礼行事だ。元司法書士佐藤さんはその小高神社の前で事務所を営んでいた。事務所は自宅と兼用で、家族と共に震災前まで居住していた。
東日本大震災およびその直後の東電第一原発事故により佐藤さんの生活は激変した。避難生活を余儀なくされ、その後、どの避難者も辿った過酷な避難生活を過ごした後、やっとのことで仮設住宅に入居する。佐藤さんは一人で仮設住宅に住むことを選択、家族は川口市へ避難した。一家が離れ離れに避難生活を送ることは福島ではまれなことではない。
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仮設住宅
現在、佐藤さんは、南相馬市鹿島区の仮設住宅に住んでいる。
仮設住宅には、南相馬市の津波被害者及び原発被害者が入居している。猫および犬を飼うことが可能なためペットと共に暮らす入居者が多い。鹿島、および原町区の避難者は津波被害者、小高区の避難者は津波及び原発被害者だ。
佐藤さんは、仮設住宅での生活に次のような感想を持っている。「入居者の生活を観察していると男女で意識の差があるように見受けられる。概して、男性は現在の境遇・状況を受け入れることに消極的であり、本当はここに住む住民ではないとの思いが強いひとが多いように感じられる。一方、女性は意外と現在の環境に適合しているように思われる。自宅には、ほぼ毎日通っている人が多い。」
自動車などに対するいたずらや賠償金に対するやっかみなどの被害がしばしばある。」

佐藤さんは司法書士は廃業したが、相談に来る人には相談に乗っている。
「入居者は元司法書士の佐藤という名で相談に来る。遠隔地の名古屋などに相談に出かけたこともある。」「相談に来る人は解決能力のある人が多いように見受けられる。自分で相談をしに来る事ができる人のみ相談に来る印象だ。問題は、相談に来ることさえもできず、決断もできない人たちをどうするか、どう支援するかという課題にいかに対処するかということだ。」
「そうした人たちの支援をしたいというのも家族と別れて仮設住宅に入居した動機の一つ。」と語る。
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現在、復興住宅建設の加速や住宅損害賠償金の支払いがされた等の事情の変化により、仮設住宅から復興住宅へ、あるいは帰還を諦めて新たな地で住居を構える等、仮設住宅入居者の移動が進んでいる。
このまま今の動向が続けば、次に来るのは、入居者が減少に伴う仮設住宅の統合という方向に進まざるをえない将来が見えてくる。仮設住宅に残る入居者の多くは高齢者だ。もし、そうした状況が生まれかねないとすれば、仮設住宅の生活の中で、せっかく作り上げられた本人と周りのつながりも無視されることになり、その結果、仮設住宅に残ったままの高齢者の孤立化が進むことになるのではと危ぐされる。孤立化が進むことで、かつての阪神淡路大震災の際に起きた高齢者の悲劇が再び起こる事態になることだけは避けたい。
「神戸の二の舞いになってはならない。」と佐藤さんは語気を強めた。
                   (いしかわ)  

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南相馬市避難指示解除―避難者それぞれの選択― Part1(1)

南相馬市避難指示解除―避難者それぞれの選択― Part1(1)

 福島県南相馬市に出されていた避難指示が7月12日、解除された。
解除対象地は、原町区と小高区の避難指示解除準備区域及び居住制限区域で、解除の対象者は、計3487世帯1万807人。1万人を超える規模過去に避難指示を解除された地域では最大規模だ。
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平成18年に相馬郡小高町、原町市および相馬郡鹿島町と合併した南相馬市は、阿武隈高地を西に、東を太平洋に面する気候温暖な地である。「相馬野馬追(のまおい)」は全国的にも名高い。
本年の相馬野馬追は、7月23日から3日間行われた。24日は、相馬野馬追の本祭りが原町区の雲雀ヶ原祭場地で行われ、甲冑競馬や騎馬武者が旗を奪い合う神旗争奪戦などの神事を、全国各地から訪れた大勢の観光客が楽しんだ。
避難指示が解除された小高区では、6年ぶりに祭りから戻る「帰り馬」をかがり火で迎える「火の祭」が復活した。
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華やかな相馬野馬追に先立つこと一ヶ月、避難指示直前の6月中旬、我々は南相馬市小高区を訪問した。街への立入りは制限されていたが、帰還・復興に向かっての活動は既に始まっていた。少数ではあるが事業を再開した商店もある。改修工事の現場も街のそこここに見受けられた。
 街は今、復興に向けて動き出そうとしている。しかし、復興の先にあるものは、まったく経験したことのない世界だ。待ち受けている将来に対する想像力が必要な世界だ
 我々は、先般、それぞれの方法で将来を見据えて活動されている小高区の住民4人の方にお話を伺う機会を得た。以下は、それを元にしたリポートである。
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南相馬市南端から東電第一原発まで、およそ10km。第一原発の煙突を望むことが出来る距離だ。

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津波被害地は、一面雑草に覆われている。

                   (いしかわ)  

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仮設・借上げ住宅、一部地区住民平成29年3月末で供与期間を終了(注意点)

仮設・借上げ住宅、一部地区住民平成29年3月末で供与期間を終了(注意点)
 自主避難区域の、仮設・借上住宅の提供は来年3月31日で終了になりますが、注意点をいくつか挙げておきます。
(注意点 1
借上住宅では、大家が退去を求めたときは、必ず平成29年3月31日までに退去しなくてはなりません。同額の賃料を居住者が払うと申し入れても、大家は退去を求めることが可能です。 
そこに居続けるためには、大家と居住者が、新たに賃貸契約を結ばなくてはなりません。もし大家から家賃の値上げを求められた場合、これを呑まなければ退去せざる得なくなるでしょう。
福島県のホームページも、平成28年4月のときの再契約の場合の説明ですが、「貸主様が期間満了..により契約を終了する意向を示した場合は、契約満了日に退去していただく必要があります。」としています。
(注意点 2 
福島県以外の県市町村の公営住宅等も同様で退去が前提です。ある県では、再入居には一般の市民との公平から、同じように新たに抽選に参加して下さい、と言われているところもあるそうです。福島県は、各県・市町村に優先入居の要望をしているようですが、これに応じるかは各県市町村の考え方次第にならざるを得ないと、福島県の担当者は言っています。
避難している人を、避難解除によって一気に一般市民と同様の取り扱いとすることは、果たして妥当なのでしょうか。もう少し配慮があるべきです。


以下参考として福島県のホームページから。傍線は筆者。

福島県借上げ住宅再契約書等のご案内(平成28年4月1日~平成29年3月31日)
 掲載日:2015年10月9日更新
graphic1 福島県借上げ住宅再契約について
福島県借上げ住宅の現在の契約は、契約が終了しても更新されない定期建物賃貸借契約となりますので、供与(契約)期間を延長するためには、貸主様、福島県、市町村及び入居者様の4者の間で、現在の契約の供与期間の終わりの日の翌日を始期とする1年間の新たな契約を締結する必要があります。そのため、県内における契約継続(再契約)に関する事務手続きについては以下のとおりとしますので御理解、御協力をお願いします。

※ 貸主・貸主代理様に再契約のご案内を差しあげております。仲介業者等に作成を依頼されるか、または貸主・貸主代理様で作成をお願いします。
2 再契約の対象について
現在、県が応急仮設住宅として借り上げている民間賃貸住宅約15,700戸分の契約が対象となります。

※ 
ただし、貸主様が期間満了(平成28年3月31日まで)により契約を終了する意向を示した場合は、契約満了日までに現物件から退去していただく必要があります。
   なお、その場合は入居者様宛に通知をお送りします。

                   (さくらい)  

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