福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2017年02月

最近の原発損害賠償に関する情報(2017年2月)

最近の原発損害賠償に関する情報(2017年2月)
原発事故から6年が経過しようとしています。避難区域の解除が進んでいますが、原発被害区域は元の状態に戻りつつあるとは到底言えない状態です。避難者の自死や損害避難生活を原因とする関連死など、いまだに被害は継続して発生しています。避難の長期化に伴う当初では予想できなかった事案も起きています。
原発被害の賠償は、中間指針で定められた損害賠償基準に定められたものに限定されるものではありません。原発事故の被害が発生していれば、中間指針で定められたもの以外でも、また、避難区域の解除がされた後でも、避難指示区域外でも損害賠償請求は認められます。
原発事故に関連したことでお悩みの方やご不満がある方は、原発事故被害者支援司法書士団にご相談ください。
原発事故被害者支援司法書士団では、原発事故被害を受けられた皆様のために「無料相談」を実施しています。
お悩みの方、ぜひ、ご相談ください。(下記フリーダイヤルにお電話ください。)

福島第一原発事故廃炉作業で白血病労災認定の元原発作業員東電提訴
東京電力福島第一原発事故後の廃炉作業などに従事し、白血病を発症して労災認定を受けた北九州市の元原発作業員の男性が、東電と九州電力に約5900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
訴状によると、累積被ばく線量は約 19.8ミリシーベルトに上ったとされています。
男性は、福島第一原発4号機の原子炉建屋で、使用済み核燃料を取り出すための足場の設置工事に約半年間従事などした後、14年1月に急性骨髄性白血病と診断されました。
男性は、労災を申請。15年10月に白血病で労災が認定されました。さらに、男性は死の恐怖からうつ病も発症し16年5月にうつ病でも労災が認定されました。
労災が認定された原発作業員による提訴は初めてとのことです。
・福島第1原発事故 「廃炉作業で白血病」 労災認定の元原発作業員、東電提訴
2016年11月23日毎日新聞
・白血病で労災認定の福島原発元作業員が提訴「東電は何ひとつ謝ってくれていない」
2016年11月22日弁護士ドットコムニュース

農林業賠償(避難区域内)3年分一括賠償
政府と東電は、平成29年1月以降の農林業の損害賠償では、避難区域内は事故前の年間利益の3年分を一括で支払う、32年以降については損害がある限り適切に賠償するとの見直し案を県やJAに伝えました。
見直し案の内容は、避難区域内での賠償は、原発事故前の年間利益の 3倍相当額を一括で支払う(200万円 × 3 = 600万円(金額は仮定))、平成32年以降は損害ある限り農林業者の意向を踏まえた方式で適切に支払う、避難区域外では、29年中は実際に生じた損失を支払う現行の枠組みを継続、30年以降の枠組みは農林業者の意向を踏まえ29年内に確定する、としています。
・農林業3年分一括賠償 政府、東電 反発受け1年上乗せへ
2016/12/01 福島民報
・避難区域内農林業賠償は3年分一括県に伝達 32年以降「損害ある限り」 政府、東電
 2016/12/02 福島民報

原発で非難した子供のいじめ、神奈川で9人被害(内不登校2人)
神奈川県内に避難し損害賠償の訴訟を起こしている世帯のうち、8世帯の子供がいじめを受けていたことが弁護団による聞き取りでわかりました。
高校生以下の子供がいるおよそ30世帯の原告から弁護団が聞き取りを行った結果、8世帯の子供が原発により避難していることを理由に暴言を言われたり暴力を振るわれるなどのいじめを受けていました。
弁護団は、いじめの実態はもっと多いと思われると話しています。
・原発避難いじめ  神奈川で8世帯9人被害 うち2人不登校
2016年12月19日毎日新聞

浪江町民ADR 75歳以上の一人と東電和解。約15000人の一律増額は拒否変えず
浪江町民15000人が精神的損害賠償額を一人月35万円に増額するよう求めていたADRで、原子力損害賠償紛争解決センターは1人月5万円、75歳以上は月8万円を上乗せする和解を和解案を示しましたが、東電はその和解案を拒否していました。
その和解案のうち東電と、75歳以上の一人と月8万円を上乗せするとする和解が20日までに成立しました。
しかし、東電は、ほかの一律増額の和解については拒否する姿勢を維持しています。
・福島第1原発事故 「一律増額」拒否変えず 浪江町民、ADRで東電 /福島
2017年1月19日毎日新聞
高齢者1人と「初の和解」 浪江町ADR、精神的損害賠償
2017年02月21日福島民友

避難指示が26年4月以降に解除された5市町村の帰還率は約13パーセント
産経新聞の取材によると避難指示が解除された田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市の5市町村の帰還率が13パーセントにとどまっていることが分かったとされています。
住民票に登録されている計19460人のうち一月の時点で、居住しているのは2561人、13.1パーセントとされています。
・住民帰還率、いまだ13% 原発事故の避難解除地域 福島県5市町村
2017.1.28産経ニュース

連帯呼び掛け/原発訴訟原告団
原発被害者訴訟原告団全国連絡会が、2月19日東京都豊島区で集会を開き避難者に連帯を呼びかけました。集会には約110人が参加、栽培や避難者の状況について報告がありました。
・原発事故避難者の連帯呼び掛け 賠償訴訟原告団が集会
2017年2月19日東京新聞

群馬県内の自主避難者調査/避難継続を6割希望
自主避難者に対する福島県の住宅支援は原則3月に終了します。住宅支援打ち切りは、自主避難者に間接的に帰還か移住かの選択を迫ることになります。
県の調査によると群馬県内に避難している自主避難者の中で福島県に戻る意向を示したのは108世帯中9世帯と報道されました。6割が現在の避難状態の継続を希望しています。帰還をしない、あるいはできない自主避難者が多数いらっしゃる現実が浮き彫りになりました。1人1人の避難、滞在、帰還の選択の自由を保障をすべき施策が望まれます。
・群馬県で生活 6割希望 原発事故の自主避難者調査
2016年12月31日 上毛新聞


  (内容の要約は、筆者によるものです。いしかわ)
                     

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兵庫県司法書士会シンポジウム「 災害列島における防災と復興を考える 」 (3)

兵庫県司法書士会シンポジウム「 災害列島における防災と復興を考える 」 (3)

パネルディスカッション
「復興の課題と今後の備え~住宅問題を中心として~」

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森川弁護士
 東日本大震災の仮設住宅建設費用は700万円、阪神淡路大震災では400万円だった。
いろんなものを積み上げると一世帯1000万円ほど国が支出している。1000万円の資金で家は建つ。現に、熊本地震では1000万円で住宅の計画販売がされようとしている。居住を確保するための支援方法を大胆に変えていくという必要性がある。その可能性はあるのに国はやっていない。
塩崎教授
計画では、高台移転事業のコストは、宅地整備費が1戸あたり4326万円、移転民間住宅費用は6583万円だ。6000万円以上支出して立地へ移転することが適切なのだろうか。自力再建に対する補助金とどちらが安いのだろうか。高額な高台移転事業より自力再建を選ぶというのが、市民的には正しい感覚ではないのか。国民経済的に見ればむちゃくちゃな計画だ。
古部氏
生活再建を考えるときに、避難者は、仕事に就いていると帰りたくても帰れない。帰って生活が成り立つのかも不安だ。
避難者はいろんな悩みや不安を抱えている。県外避難者にも、お互いさまで受け入れる日本でいてほしい。命を応援する制度が必要と感じる。
塩崎教授
県外移住になんでそんなに問題が生ずるのか。
復興の主体は地方自治体であるのが原則だが、その原則によって日本国内で生じている不平等を解消する必要がある。
森川弁護士
岩手県では、住宅新築に最大565万円+100万円の上乗せ支援を行う。宮城県でも一部市町村によっては上乗せ支援を行う。現状は自治体で支援に差異がある。
その差異をなくす、あるいは小さくするためにはどうしたらいいのか。国レベルの制度システムや支援を充実させる必要がある。できるだけ平等化にするシステムの構築が望まれる。
塩崎教授
東日本大震災では、復興予算はほとんど国から出ている。しかしそれは最初だけだ。
予算がいかない所には、まったくいかない。
森川弁護士
現物支給の原則から資金援助へ、災害救助法の法律を改正する必要があるだろう。
古部氏
住宅支援終了に伴い、市営・県営住宅等の無償入居が原則終了する。避難生活を継続する避難者のために福島県が県外に住宅を確保したとの報道が最近あったが、他県にも広がってほしい。
塩崎教授
被災者は、当初、被害をわかっていなくて、だんだんとわかってくる。行政も同様。
被災者が直面するトータルの問題をわかっている人、考えている人は誰もいない。
これが根本の問題だ。

まとめ
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古部氏
被災県と関西の支援情報を受け取るには「全国避難者情報システム 」の登録が必要だ。
住宅支援終了に伴う住み替えによって引越した後も情報を受け取るためには再登録が必要。引越し前に必ず再登録をする事が重要だが、被災者は知らないことが多い。システムが途絶えないように、広報する必要性がある。
森川弁護士
二重ローンの問題等、被災者に責任はないのに、人生をかけた財産をすべて失った被災者に対して、個人で何とかしなさいとするのは苛酷である。復興に資金をかけるのは平等の原則に基づく憲法の要請である。
現在の制度に良い点もある。良い点を活かしつつ改善すべき点は早急に改善していくべきだろう。
復興まちづくりには住民合意形成が重要である。住民に判断材料を提供し合意形成を促進するためにも、
常日ごろからの専門家、ボランティアのアドバイスを受けられるシステムを構築する必要性がある
塩崎教授
災害の経験・教訓に基づいて、残すべきことを整理し、来るべき大災害に備えなければならない。
特に欠けているのが復興に対する備え、これに力を注ぐべきである。災害の後に対する意識を持つことが必要だ。


兵庫県司法書士会は、震災に関する催しを継続して主催・後援し続けている。
「続けていくこと、忘れないことが大事」であり、それが阪神・淡路大震災および東日本大震災の教訓を次に繋げていく原動力となる。また、東日本大震災から6年が過ぎようとしている今、一人一人が何ができるかもう一度考える必要がある。共に手を携え支援活動を継続していく必要もある。今回のシンポジウムに参加してそう感じた。
原発事故被害者支援司法書士団も、このブログによる情報提供や被害者のための相談・ADR申立て等の活動を今後も続けていきたい。  
    (内容の要約は、筆者によるものです。 いしかわ)
                     

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兵庫県司法書士会シンポジウム「 災害列島における防災と復興を考える 」 (2)

パネルディスカッション「復興の課題と今後の備え~住宅問題を中心として~」
パネルディスカッション「復興の課題と今後の備え~住宅問題を中心として~」
パネリスト 塩崎賢明(立命館大学政策科学部教授)
     森川憲二(弁護士)
    古部真由美(東日本大震災県外避難者西日本連絡会代表世話人)
    コーディネーター 島田雄三(司法書士)
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パネルディスカッションは、コーディネーターは島田雄三氏(兵庫県司法書士会)パネラーは塩崎賢明教授、森川憲二氏(弁護士)、古部真由美氏(東日本大震災県外避難者西日本連絡会代表世話人)の四氏によって行われた。
(以下、各パネラーの発言のうちから筆者の印象に残ったものを要約して記していく。選択と要約は筆者の責任でなしたもので、誤りや発表者の意図とは違う場合があることをお許し願いたい。)
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古部氏(ご自身が茨城県からの避難者である。)
関西に避難している人たちに向けて、月刊情報誌「月刊まるっと西日本NEWS」(暮らしのための様々な情報が載っている)の発行をして、1700世帯に無料配布している。
避難者のための相談窓口を開設したり、帰省費用助成支援等の事業もしている。
自主避難者に対する福島県の住宅支援は原則3月に終了する。帰還をしない、あるいはできない自主避難者のために住宅支援の延長をすでに決定した自治体もある一方、「延長を検討中」や「未定」の自治体も多い。
「まるっと西日本」では、住宅支援のスムーズな延長をサポートするため、府県や市町村に対し格差のない支援が行われるよう訴えるとともに、被災者からの声を受け止める相談窓口を開設している。
高齢の自主避難者は、仕事が見つからない人が多い。それらの人達の中には、住宅支援が終了すると生きていけないと訴える人もいる 。無償の住宅支援は生活の維持・再建に欠かせないシステムだ。住宅支援の終了は深刻な問題だ。今後の方策がみつからない。行く末が暗い 。
Q:夫は福島で生活し、妻子は避難している方々の現状はどうか 。
 実際、家族での移住は増加している。分裂したままに生活している母子の避難も多い。避難者は、将来について家族で話し合いをしているが、折り合いがつかず、離婚に発展するケースも増えている 。

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森川弁護士
復興の課題と今後の備えに関して次の3点をあげておく。
最初に、制度面。
自然災害は、日常的に発生する。南海トラフ地震をメインとする、大規模災害の発生の確実性も高い。
被災予想を正確に立て備えとして何が必要か早期に目標設定をする必要がある。将来の災害に備え、制度的備えの整備・拡充を図るべきだ。
県外への原発事故避難者に特有の問題として、借り上げ住宅の供与打ち切りの問題がある。福島県は本年3月で原則、支援を打ち切る。これは、間接的に帰還か移住かの選択を強制することになる。1人1人の避難、滞在、帰還の選択の自由を保障をすべきだ。
2番目として資金面の改善の必要性。
災害が発生した場合に備えて、資金面でも事前にやっておくべきことを検討する必要がある。資金の備蓄の必要性もある。
番目として人と組織の問題をあげておきたい。
被災者および住民団体への自治体の支援や地域ごとのネットワークの形成を図ることが必要だ。
ボランティア・専門家が災害に対する支援について何ができるのか整理することも必要。     
災害法制や復興まちづくり法制についての情報提供・伝達の重要性を再認識し有効な実施策を支援することも必要だ。
Q:立法提言を弁護士団体等はやっているのか。
日弁連は、災害復興支援委員会を中心に、立法提言をしている。
 
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塩崎教授
災害に対する日本人の意識について、備えを本当に重要だと思っているのか疑問を持つことがある。
例えば、私が住んでいる京都を例にあげれば、大部分の市民は、大災害を気にしているし、その危険性はわかっているが、災害が発生した場合に実際どうなるのか予測がつかない人が多いと感じる。
そのためか、建物の耐震改修は進んでいない。お金がないのが最大の理由だが、仮に、お金があったら改修工事をするかと問えば、貯金すると答える住民が多いのが現状だ。
災害はいつ来るかわからないという不確実性が内在する。住民一人一人が、個人住宅は実は公共性があるという考えに至るかどうかが鍵ではないだろうか。
備えのための予算は、何兆円も計上されているが、有効に活用・使用されるのだろうか。日本の行政はしっかりしている。しかし、半面、住民に向いていない傾向が見られる。
                  (続く いしかわ
                     

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