福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2017年08月

「原発自死」を考える(1/2)

「原発自死」を考える(1/2)

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1 原発事故によって死亡者は出ていない?
 平成25年6月17日、自民党の高市早苗政調会長(当時)は、原発再稼働を目指す党の方針を説明する中で、次のように述べた。
「原子力発電所は確かに廃炉まで考えると莫大(ばくだい)なお金がかかる。稼働している間のコストは比較的安い。これまで事故は起きたが、東日本大震災で止まってしまった悲惨な爆発事故を起こした福島原発を含めて、それによって死亡者が出ている状況にもない。そうすると、やはり最大限の安全性を確保しながら活用するしかないだろうというのが現況だ」
 「福島原発を含めて、死亡者が出ている状況にもない」という発言が報道されると、ただちに激しい非難の声が上がった。「福島県では18日現在、事故による避難などにともなう関連死者が1415人にのぼると報じている。東京電力福島第一原発に近い双葉病院では、原発事故後に入院患者が取り残され、2011年3月中に40人の患者が亡くなっている。遺族の一部が今月、東電に損害賠償を求めて提訴したばかりだ」(朝日新聞デジタル)という状況にあったからである。
 事故発生から6年が過ぎた。復興庁の発表によれば、平成28年9月30日現在の震災関連死者総数3523名。うち、宮城県の死者数は922名、福島県の死者数は2086名である。震災から6ヶ月が経過する以前の死者は、宮城869名、福島1031名だった。そして6ヶ月経過後の死者は、宮城53名、福島1054名である。平成27年3月11日以後の死者数についてみれば、宮城0名、福島68名となる。この数字は、津波に伴う関連死が減っていったのに対し、原発事故に起因する死者が増え続けていることを示している。福島における震災関連死の多くが、とりもなおさず、原発事故関連死であること、原発関連死の発生が継続しており、きわめて深刻な状況にあることがわかる。

2 「原発自死」とは
新聞報道などで、「原発自死」という言葉を目にされた方も多いと思われる。原発自死とは、東電福一原発事故に伴って強いられた避難などの環境変化が原因となって引き起こされた自死のことである。

 平成 23 6 15 日、内閣府、警察庁、厚生労働省が共同で発出した「東日本大震災に関連する自殺の実態把握について」という文書がある。東日本大震災に関連する自殺の実態把握を実施するための文書である。文書は、(1)から(5)のいずれかの要件に該当する自殺を「東日本大震災に関連する自殺」と定義している。

 (1)遺体の発見地が、避難所、仮設住宅又は遺体安置所であるもの。

 (2)自殺者が避難所又は仮設住宅に居住していた者であることが遺族等の供述その他により判明したもの。

 (3)自殺者が被災地(東京電力福島第一原子力発電所事故の避難区域、計画的避難区域又は緊急時避難準備区域を含む。)から避難してきた者であることが遺族等の供述その他により判明したもの。

 (4)自殺者の住居(居住地域)、職場等が地震又は津波により甚大な被害を受けたことが遺族等の供述その他により判明したもの。

 (5)その他、自殺の「原因・動機」が、東日本大震災の直接の影響によるものであることが遺族等の供述その他により判明したもの。  例えば、①遺書等に東日本大震災があったために自殺するとの記述があった場合、②生前、遺族等に対し、東日本大震災があったため自殺したい旨の発言が あった場合

上記の定義に基いて、平成23年6月から平成27年12月までに「東日本大震災に関連する自殺」(以下、本稿では「震災関連自死」という)と認定された自死者数は162名である。福島県の自死者数を宮城県と比べると、平成23年は福島10名、宮城22名、平成24年は13名、3名、平成25年は23名、10名、平成26年は15名、4名、平成27年は19名、1名である。平成27年度の全国の震災関連自死者数24名のうち、19名が福島の自死者となっている。
 この数字は、福島県における震災関連自死の多くが、原発事故に起因した自死=原発自死にほかならないこと、原発自死がいまも続いている福島の状況の深刻さを、無言のうちに物語っている。
                                (さいとう)                         

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原発損害賠償と相続(Part4―2)

原発損害賠償と相続(Part4―2)

今回のテーマは「遺言」です。
Q:公正証書遺言って何ですか。どうすればすることができるのですか?
A:公正証書遺言は遺言をする人が直接公証人に話をして、公証人が話の内容を法律的に整理し作成する遺言です。公証人は、公務員ですが自分の事務所(公証役場といいます)で料金をもらって事務をする特殊な職業です。退職した裁判官、検察官等が国から任命されてなります。
短所は、費用がかかること、証人が二人必要なこと、原則公証人のいる役場に行かなければならないこと等、少し手続きが面倒だということがあります。長所として、無くしたり隠されたりする心配もなく、専門家が関わりますので遺言の形が法律的に有効なものかの判断に気を遣う必要もありません。裁判所の検認という手続きもいりません。安全で確実な方法です。できるならこちらの方がお勧めです。
なお、参考までに民法の条文を下記に掲載します。
第967条(普通方式の種類)遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。但し、特別な方式によることを許す場合は、この限りでない。
第969条(公正証書遺言)公正証書によって遺言するには、次の方式に従わなければならない。
 1、証人2人以上の立会いがあること。
2、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3、公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
4、遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名できない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
5、公証人が、その証書は前4号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
Q:すでにした遺言をとりやめたいのですが、どうすればいいの?
A:遺言はいつでもやめられます。これを法律用語ではこれを取消といいます。
遺言は死亡の時初めて効力を生じますから、遺言者は死亡するまで自由に遺言を変えることができます。「子Aに全財産を相続させる」とした遺言をやめることも自由です。またそれに理由もいりません。
その方法ですが、もう一度遺言をして取消すか、遺言者が遺言書を破り捨てる仕方などがあります(下に掲げる民法の条文を見てください)。ただ口頭でAに「お前にやるのは、やめた」と言っただけでは駄目なことは覚えておいて下さい。
また、公正証書遺言は手元にある正本を破り捨てても取消したことにはなりません。原本が公証役場に保管されているからです。新たに遺言をして取消しすることになるでしょう。このための遺言は自筆証書遺言でもできます。
 もうひとつ生前に、遺言と矛盾する行為をしたときも同様とされています。例えばAに甲の土地をやるという遺言があるのに、生前甲地を第三者Bに売ってしまった場合です。
参考までに民法の条文を下記に掲載します。 
第1022条(遺言取消しの自由と取消しの方式)遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。
第1023条(抵触する後の遺言または処分による取消し)前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす。
前項の規定は、遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にこれを準用する。
第1024条(遺言書または遺贈の目的物の破棄による取消し)
遺言者が故意に遺言書を破棄したときには、その破棄した部分については、遺言を取り消したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様である。
Q:遺言書が2つありますが、どちらが有効ですか
A:たとえば、死後「甲地はAに相続させる」という遺言と「甲地はBに遺贈する」との二つの遺言が出てきました。AとBとどちらが甲地を取得するのでしょうか?勝ち負けは次のように決められます。
1.民法の定める形式を欠くものがあれば欠かないほうが勝ちます。
2.どちらも形式は有効なら、後にしたほうが勝ちます。Aへの遺言は平成20年6月1日で、Bへのそれは平成28年6月10日なら、Bの勝ちです。
 もちろん、Bへの遺言が偽造や遺言者の能力が欠けるため無効の場合は別で、Aの勝ちとなります。
例は簡単にしましたが、実際にはその判断は難しい問題ですから専門家である司法書士などに相談しましょう。
 なお、遺言があるのか無いのか解らない、遺言はあったが遺言書がどこにあるのか解らない場合は、最寄の公証役場に問い合わせしてみて下さい。平成元年以降なら公正証書遺言をしているかどうかがわかります。どこの公証役場でも調べてくれます(そのとき遺言者との一定の関係を示す書類が必要です)(全国公証人会ホームページ www.koshonin.gr.jp/sho.html )
参考の民法の条文は前のQを見てください。
遺言はどんなときにすべきですか、またどんなときに役立ちますか?
A:遺言は、これを残す人の自由な気持ちによるものですので、どんなときにすべきかは本人の気持ちしだいというのが本来の回答でしょう。でも、実際にはこんなときは、遺言をしておいたほうがよいと思います。
 その典型的例は、子供のいないご夫婦です。子供がいても孫もなく親より先に亡くなっている場合も同じです。というのは、例えば夫婦A・BのうちAが亡くなりますと相続人は配偶者のBだけでなく、Aの兄弟姉妹が相続人となります(Aの親は先に二人とも亡くなっています)。えっ!相続人になるの?と驚く人もいます。あなたはご存知でしたか?
 夫婦A・Bが二人で築き上げた財産は二人の老後の費用に当てたい、と考えるのが人情です。でもBさんは、Aの兄弟姉妹の同意がなければ、預金払戻すことも、住いの名義を自分のものにすることも出来ません。でも、Aが、全財産をBに相続させる、という遺言を残しておけばすべて解決です。このようなご夫婦の場合はお互いに配偶者に「全財産を相続させる」と遺言を残しておくことが効果的です。
 また、行方不明、生死不明の相続人がいるケース、個人経営の企業(農家も)跡取りに事業資産を渡す手法としても有効です。こんな場合は、司法書士等の専門家に相談するのがよいでしょう。   
                             (さくらい)           
  

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