福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2017年11月

「復興なみえ町十日市祭」に行ってきた。

「復興なみえ町十日市祭」に行ってきた。

「復興なみえ町十日市祭」
平成29年11月25日26日浪江町地域スポーツセンター
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 11月25日、26日に浪江町の地域スポーツセンター敷地内において「復興なみえ町十日市祭」が開催されました。地元の司法書士の吉田さん(今は郡山に事務所)は、「もともと地元の浪江神社の秋祭りで、毎年10月10日に開かれてきたので「十日市祭」と呼ばれている。市民のお祭りとして続いてきた。」と説明してくれました。
 祭りのパンフレットには次のように由来が書かれていました。
「十日市とは
十日市は明治6年に出羽権現(現在の浪江神社)の祭日として浪江町権現堂地区に「市」を立てたことが始まりになります。今で言う「町おこし」の走りです。十日市の名前は、旧暦10月10日を中日(なかび)として三日間行われたことに由来するもので、収穫を終えた人々が豊年を祝い、冬に向けて生活用品を揃えるための市として始まったものです。」
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 十日市は東日本大震災により中断の危機に瀕しましたが、  npo の皆さんを中心とする住民の皆さんの努力により、その年の11月には二本松市で再開され、以来6年間継続して開催されてきました。本年は帰宅困難地域を除く全域が避難指示解除になったのに伴い浪江町で復活開催がされました。
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 会場の地域スポーツセンターには多くの人たちが訪れ想像以上の賑わいがありました。
何十もの縁日の屋台や地元の団体のテントが立ち並び、その間を人々が行き交っていました。浪江焼きそばの店の前では、十人二十人と行列が出来ていました。
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B-1グランプリ優勝の「浪江焼きそば」は地元商工会青年部の町おこしから始まりました。
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同時開催された「ふるさとの祭り2017 in 浪江」
 広場の舞台の上では地元の伝統芸能が演じられ、パイプ椅子に座った人たちが隣の人と話しながら楽しそうに見ているのが印象的でした。
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 福島県司法書士会も地域スポーツセンター駐車場の一角に相談ブースを設け、さまざまな相談にお答えしていました。群馬司法書士会の会員も相談員として参加しました。
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 所々で、数人が輪になって立ち話をしている人達が目立つのは、まだ町民の多くが避難生活を送っていて、久しぶりに会ったからなのでしょうか。

 26日の福島民友は「7年ぶり浪江「十日市祭」復活を喜びにぎわい」との見出しで、「開催を聞き町外に避難する町民も駆けつけた。来場者は 再会を喜び、地元での十日市を満喫した」と報じていました。 
                (いしかわ&さくらい)

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最近の原発損害賠償に関する情報(原発損害賠償訴訟判決)2/2

最近の原発損害賠償に関する情報(原発損害賠償訴訟判決)

3.賠償はどこまでの範囲を認めたか。
 原子力損害賠償紛争審査会の作った「中間指針」を越える賠償を認めたかがひとつの判断になるでしょう。(ただ各訴訟の原告団の地域構成が一様ではないことから単純な比較はできないことと、各判決で集められた資料に差があり、要約した内容の詳しさに差があることをお断りしておきます。)
 前提として、東電の自主的賠償の基準を定めてきた、いわゆる「中間指針」等の裁判上の位置づけについて見てみましょう。
 前橋判決はこれについて、「裁判所が・・・賠償すべき範囲を算定かるに当たっては、中間指針等が定めた損害項目及び賠償額に拘束されることはなく、自ら認定した原告の個々の事情に応じて、賠償対象となる損害の内容及び損害額を決定することが相当である」と言っています。「中間指針」等に拘束されないということは3つの判決とも共通といってよいでしょう。
では各判決の賠償内容を見てみましょう。
(1)前橋判決
  年齢や避難の経緯をもとに個別的に金額を検討し支払い済みの金額との差額を認めました。避難指示区域の住民19人に75から350万円、区域外の自主避難者43人に7万~73万円、総額3855万円を認めましたが、72人については認めませんでした。その理由は既に支払い済みということと思われます。
 判決に「平穏生活権」ということばが出てきますが、「ふるさと喪失損害」について判断したかは定かではありません。
 賠償金額については3つの判決の中で被害者に最も厳しいと言われています。しかし、一例を挙げますと、個別的事情を考慮の上の総合判断として、福島市の旧居住者で群馬(一時二重生活を余儀なくされいる)に避難してきた夫婦に各51万円の追加賠償を認めています。これは次に述べる福島判決の16万円より高い金額で、最も賠償が厳しいと言い切ることは出来ません。
(2)千葉判決
 中間指針を越え、故郷喪失慰謝料(請求額1人2000万円)として原告35に50万から1000万円を認めました。自主避難者にはこれを認めませんでした。
 この判決は中間指針を超える故郷喪失慰謝料を認めたところが画期的といえるでしょう。(残念ながら判決分等の資料が手に入っていないので詳しい解説ができません。)
(3)福島判決
地域ごとに判断されていますので、これに従って説明しましょう。
帰宅困難区域と、現在も避難指示が続いている双葉町の避難準備区域で中間指針を越える額20万円を認めました。これは平穏生活権侵害による慰謝料は月10万円が相当とし(中間指針と同じ)つつも、請求できる時期を26年4月までとし、26年2月までとした中間指針を越え2か月分プラスしたものです。なお、これ以降の慰謝料は1000万円の帰宅困難慰謝料で包括されており、これが「ふるさと喪失」に対応するものとしました。しかし「ふるさと喪失」損害の追加賠償は認めませんでした。

居住制限区域、避難指示解除準備区域の旧居住者(例えば飯舘村、南相馬市、楢葉町等の一部)には賠償を認めませんでした。その理由は、月10万円の賠償が今(29年9月21日である口頭弁論終結の時)も続いているからだとしています。
旧特定避難勧奨地点、旧緊急時避難準備区域旧居住者(例えば広野町、田村市、川内村の一部等)には中間指針を超える損害を認めませんでした。
旧一時避難要請区域旧居住者(例えば南相馬市鹿島区)
 中間指針では23年9月まで月額10万円で計70万円でした。 
 これに3万円、妊婦・子供にはさらに8万円(計11万円)を認めました。
 鹿島区の一部では23年9月末時点でも10msv/yを超える線量が観測されていてこれを不安に感じること等が追加の理由です。
⑤旧屋内退避区域旧居住者 原告がいないので判断しない、としています。
⑥自主的避難区域旧居住者(福島市、桑折町、川俣村等)
 中間指針では 妊婦・子供48万、それ以外8万円を認めていました。
 判決はそれ以外の人にプラス16万円としましたが、妊婦・子供は45万円を越える   額なしとし、賠償を認めませんでした。23年3月末時点で20msv/yを超える   空間線量率が観測されていて、旧避難指示解除準備区域の旧居住者の抱いた不安に比   べて大きく劣るものでない等が追加を認めた理由です。
⑦県南地域・宮城県丸森町旧居住者
 子供・妊婦(24万円)だけが賠償の対象とされていましたが、それ以外の人たちにも10万円を認めました。
⑧賠償対象区域外の旧居住者
 賠償対象でなかった茨城県水戸市、日立市、東海村の避難者に1万円を認め、同県牛久市、つくば市、会津地域、宮城県(丸森町を除く)、栃木県の旧居住者については賠償を認めませんでした。
「ふるさと喪失」損害については、帰宅困難区域につき中間指針の1000万円を超える損害は認めませんでした。
                (さくらい)

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最近の原発損害賠償に関する情報(原発損害賠償訴訟判決)1/2

最近の原発損害賠償に関する情報(原発損害賠償訴訟判決)

前橋、千葉及び福島地裁の損害賠償訴訟判決をわかりやすく説明します。
 原発事故による損害賠償請求訴訟は各地で起こされています。平成28年3月までで、全国で31件の集団訴訟がなされ、その原告の数は合計約1万3000人になります。
 その判決が今年3月の群馬県の前橋地裁を皮切りに、千葉、福島の地裁で出ています。これからの賠償のあり方に影響を与えることになるでしょう。そこで、その内容について、わりやすく説明したいと思います。
 主な論点は、次の3点です。
1.東電の責任を認めたのか。
2.国の責任を認めたのか。
2.賠償はどこまでの範囲を認めたか。
以下、3つの論点に分けてそれぞれの判決を比べてみましょう。
1.東電の責任を認めたのか。
 前橋、千葉及び福島地裁、どの判決も賠償責任を認めています。ただ責任の根拠はいずれも、民法の不法行為(過失責任=ミスあり)によるものでなく原賠法(無過失責任=ミスがなくても責任がある)によるものです。これによれば、東電に過失(ミス)があってもなくても賠償責任を負います。しかし、東電に過失があったかは、事故の本質にかかわることでとても重要な論点です。
 その判断は分かれているように見えます。前橋と福島は東電の過失(ミス)を認めていますが、千葉はあいまいで認めていないように思われます。
 ではその千葉判決をみてみましょう。
「東電は津波対策を完全に放置したとまでは評価できない」「慰謝料を増額することが相当といえるような重大な過失があったということはできない」判決ではこう言っています。(なお、これは千葉の判決文が手に入っていないので新聞報道等をもとにしたであることをお断りしておきます。)
  次に過失責任を明確に認めた福島判決をみてみます。
「被告東電にも「長期評価」から予見される津波対策を怠った過失があると認められる」としています。前橋判決も「常に安全側に立って対策をとる方針を堅持しなければならないのに、経済的合理性を優先させたと評されてもやむをえない..被告東電には、本件事故の発生に関し、特に非難に値する事実が存する」としています。
 
2.国の責任を認めたのか。
 国の責任については判断が分かれています。群馬(前橋)と福島では認めましたが、千葉は認めませんでした。
 では福島の判決の内容をみてみましょう。出来るだけ解りやすくしますと、こうなります。
 「国は地震が起きて原発の敷地を越える高い津波が発生することが予測でき、これによる原発の非常用電源が損傷する恐れがあったのだから、国は東電に安全対策をとることをきちんと命じていれば、全非常電源が失われることはなく、事故の発生は防げたはずだ。しかし、国がこうした行動をとらなかったのは著しく不合理だ。だから賠償する責任がある。しかし、その責任は東電を監督する二次的なものだから、賠償する範囲は半分だ。」(筆者要約)としています。
 また、前橋判決も「国は遅くとも平成20年3月頃には規制権限を行使して、東電に回避処置を講じさせるべきであった」としてその違法性を認めています。前橋は国の責任を半分にはせず全部認めています。
 では国の責任を認めなかった千葉の判決はどうでしょう。
  「津波の発生は予測できたが、その程度は高くはないので回避すべき義務があったとまでいえない。また回避しようとしても事故が回避できたかは定かでない」と言っています。
 国の責任を認めるかどうかは、この原発事故という人災の責任が誰にあったか、はっきりさせるものとして重要です。
                (さくらい)

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