6.これからの選択肢 |
現在(平成29年6月)、大玉村の仮設住宅はA棟、B棟、E棟、F棟の4棟が建てられている。暮らしているのは10世帯のみ。1棟に 1名しか住んでいないところもある 。
仮設住宅に継続して住み続けているのは、「他地域の復興住宅完成まち」「移動するのが面倒」「帰還待ち」等が主な理由だ。
幸いと言うべきか、復興住宅は、仮設住宅の隣接地に建設された。それゆえ、仮設住宅でも、自治会ないしコミュニティは、ある程度維持されている。
仮設住宅に継続して住み続けているのは、「他地域の復興住宅完成まち」「移動するのが面倒」「帰還待ち」等が主な理由だ。
幸いと言うべきか、復興住宅は、仮設住宅の隣接地に建設された。それゆえ、仮設住宅でも、自治会ないしコミュニティは、ある程度維持されている。
鎌田前自治会長は以前のインタビューで、「復興住宅に住む人も仮設に残る人もひとつの自治会でやっていく、今後も以前と同じに活動を続けていく。大玉村との関係も見守り隊も黄色い旗も続けていく。」とお話になっていたが、その方針は現自治会長にも引き継がれ維持されているので、仮設に継続して入居されている方と復興住宅に移った人達との交流も、しばらくは以前と同じように出来るかも知れない。
独居の高齢者のための仮設住宅の見回りや無事を知らせる黄色い旗は仮設住宅、復興住宅、共に継続中だ。しかし、それも来年(平成30年)で終了する予定だという。
買い物及び病院を利用するためのバスサービスも継続中で、週に二日往復3便が運行されている。以前は、買物バスは週四日4便だった。しかし、実際に病院に通う人達にとって、バスは不便のようだ。運行便数が少ない上に、行きはよいが帰りは診察がいつ終わるかわからないのでバスで帰れないかもしれないからだ。
仮設住宅の隣地に開設されていた診療所は4月で終了した。現状では保健士もほとんど回ってくることはないという。復興住宅も仮設住宅も、高齢で一人暮らしの人が多い。医療インフラは住民が健康で暮らすための重要なファクターだ。それが住民の減少に比例して、ますます貧弱になりつつある。
買い物及び病院を利用するためのバスサービスも継続中で、週に二日往復3便が運行されている。以前は、買物バスは週四日4便だった。しかし、実際に病院に通う人達にとって、バスは不便のようだ。運行便数が少ない上に、行きはよいが帰りは診察がいつ終わるかわからないのでバスで帰れないかもしれないからだ。
仮設住宅の隣地に開設されていた診療所は4月で終了した。現状では保健士もほとんど回ってくることはないという。復興住宅も仮設住宅も、高齢で一人暮らしの人が多い。医療インフラは住民が健康で暮らすための重要なファクターだ。それが住民の減少に比例して、ますます貧弱になりつつある。
仮設住宅の入居期限は平成30年3月末が予定されている。
「避難指示が解除された地区だけでなく帰宅困難区域からの避難者も出て行って欲しいと町から言われています。中には引越しを嫌がっている人もいます。引越しを拒否しても、強制退去まではしないと思いますが。」と富岡さん(仮名)は、仮設住宅入居者の先行きを見通す。
入居期限が延長される可能性がないわけではない。しかし、今後たとえ入居期限が延長されたとしても仮設住宅には何時までも住めるわけではない。いずれ出なければならないのだ。
鎌田前自治会長は、「取り越し苦労かもしれないが、先行きを考えると様々な問題が起こる様な気がする。」と先行きを心配していたが、それが現実になろうとしている。
「避難指示が解除された地区だけでなく帰宅困難区域からの避難者も出て行って欲しいと町から言われています。中には引越しを嫌がっている人もいます。引越しを拒否しても、強制退去まではしないと思いますが。」と富岡さん(仮名)は、仮設住宅入居者の先行きを見通す。
入居期限が延長される可能性がないわけではない。しかし、今後たとえ入居期限が延長されたとしても仮設住宅には何時までも住めるわけではない。いずれ出なければならないのだ。
鎌田前自治会長は、「取り越し苦労かもしれないが、先行きを考えると様々な問題が起こる様な気がする。」と先行きを心配していたが、それが現実になろうとしている。
今後の選択肢を住人の方たちはどう考えているのだろうか。
これからの行く末に対する考えは、仮設に入居している人たちも、復興住宅に入居している人たちも、一様ではなく様々であろうことは想像に難くない。避難指示が解除されたら帰還する思いの強い人もいれば、移住して別のところに家を建てるまでの仮の住まいと考えている人もいるかもしれないし、他の家族の生活計画が決まるまでの、とりあえずの住いと考えているかも知れない。
これからの行く末に対する考えは、仮設に入居している人たちも、復興住宅に入居している人たちも、一様ではなく様々であろうことは想像に難くない。避難指示が解除されたら帰還する思いの強い人もいれば、移住して別のところに家を建てるまでの仮の住まいと考えている人もいるかもしれないし、他の家族の生活計画が決まるまでの、とりあえずの住いと考えているかも知れない。
大玉村の復興住宅入居者は、富岡さん(仮名)の言葉によれば、現実には、終の棲家と考えている人が多いようだ。
「復興公営住宅では、富岡に帰りたいとの声はほとんど聞こえてきません。富岡町に帰りたい人はほとんどいないと思います。このままここに住み続ける人が多いと思います。
高齢者は老い先短い。更にまた他の地に移動するのは困難です。
新たな住宅建設を考えている人もいると思うが、借家に住んでいた人は精神的損害の賠償金と年金のみ、資金がありません。仮に、富岡町に新築しても10~15年経つと高齢化が進行し、将来住む人がいない事態になってしまう。」
「復興公営住宅では、富岡に帰りたいとの声はほとんど聞こえてきません。富岡町に帰りたい人はほとんどいないと思います。このままここに住み続ける人が多いと思います。
高齢者は老い先短い。更にまた他の地に移動するのは困難です。
新たな住宅建設を考えている人もいると思うが、借家に住んでいた人は精神的損害の賠償金と年金のみ、資金がありません。仮に、富岡町に新築しても10~15年経つと高齢化が進行し、将来住む人がいない事態になってしまう。」
仮設住宅の入居者の減少および復興住宅への移動に伴う様々な問題は、大玉村に限った事柄ではなく避難指示が次々と解除される中、福島県全域で起こっている。
当初計画されていた地域コミュニティの維持は、歯の抜けたような仮設住宅の住環境のもとでは困難な状況だ。行政も仮設住宅に住み続けている避難者に対しては、退去を優先しているようにも見える。
年齢の比較的若い人たちは比較的決断が早い。今後の生活に対する決断を先延ばしにしながら最後に残るのは、老齢者等のもっとも弱い人である可能性が強い。もの言わぬ沈黙の人をこれからどう支援していくかは大きな課題だ。
こうした状況下で、今もそうだが、孤立や・自殺が今後ますます増えるのではないかと危惧される。
仮設住宅から復興住宅という住環境の変化は、高齢・独居・孤立等の問題解決の糸口にはなっても深刻な状況が解決されるにはそれだけでは不十分だ。
当初計画されていた地域コミュニティの維持は、歯の抜けたような仮設住宅の住環境のもとでは困難な状況だ。行政も仮設住宅に住み続けている避難者に対しては、退去を優先しているようにも見える。
年齢の比較的若い人たちは比較的決断が早い。今後の生活に対する決断を先延ばしにしながら最後に残るのは、老齢者等のもっとも弱い人である可能性が強い。もの言わぬ沈黙の人をこれからどう支援していくかは大きな課題だ。
こうした状況下で、今もそうだが、孤立や・自殺が今後ますます増えるのではないかと危惧される。
仮設住宅から復興住宅という住環境の変化は、高齢・独居・孤立等の問題解決の糸口にはなっても深刻な状況が解決されるにはそれだけでは不十分だ。
大玉村仮設住宅で5年余の生活を共に過ごして来た人たちが、それぞれの道を歩み始めている。しかし、どの道を選択したにしろ、するにしろ、原発被害前の生活を取り戻すことは非常に困難だ。東電第一原発の事故により住民の平穏で安定した生活が破壊された状態は、現在も将来に向かっても、新たな平穏で安定した環境が構築されるまでずっと維持されたまま時が進む。
被害者の苦悩は続かざるを得ないのだろうか。
(いしかわ&さくらい)
被害者の苦悩は続かざるを得ないのだろうか。
(いしかわ&さくらい)
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