福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

2018年10月

原子力損害の賠償に関する法律の虚実

原子力損害の賠償に関する法律の虚実

 原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)の制定過程を、国会議事録検索によって見てみました。
この法律は昭和36年の第38国会で成立しており、科学技術振興対策特別委員会で審議されています。
参考人として原子力委員会原子力災害補償専門部会長 我妻榮氏らが質疑に応じており、それなりに興味深いものです。

原賠法は、そのタイトルからして原発事故による損害賠償を行うための法律には違いありません。しかしこの法律を作ったのは、損害賠償をきちんと行う為ではないことがわかりました。

 法律の目的は「この法律は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする」となっています。被害者の保護と原子力事業の健全な発展が目的として併置されているわけです。
 日本における原子力事業は、ごく一部を除き、民間事業者が行なっています。原発事故が起きて巨額の損害賠償がなされた結果、事業者が倒産する事態は、「原子力事業者の健全な発展」を阻害することになる。そこで、そのような自体を招かぬよう、事業者の能力を超える損害賠償については国が支援することになっています。つまり、この法律による限り、東電を法的整理する選択肢ははじめからなかったことになります。この法律は、原子力事業者が事故によって倒産するリスクを排除する目的を持っていたと言ってよいでしょう。
 また、無過失責任と責任の集中がセットで規定されました。

無過失責任、責任の集中等)
第3条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に書面による特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
《改正》平26法134
第4条 前条の場合においては、同条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者以外の者は、その損害を賠償する責めに任じない。

 この法律によって「責任の集中」を規定する必要があったのは、原発メーカー(GE)が、事故発生時の損害賠償請求を危惧したため、この懸念をなくす必要があったからです。
 原賠法は、被害者のための法律と思われがちですが、それは一面でしかなく、その本当の目的は、民間事業者による原子力発電事業を日本に導入するための仕掛けであったのです。
 このような法律の性格(原発力事業者の健全な発展を期する、関連事業者の責任を排除する)は、原賠機構の運用など、様々な面に影響しているのではないでしょうか。
        
                               (さいとう)

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原発賠償と相続(相続人の一人が外国に在住している場合)

原発賠償と相続(相続人の一人が外国に在住している場合)

相続手続きのお話は久ぶりかと思います。
今回は、遺産分割について、ちょっと特殊なケースの話を、いくつかしてみたいと思います。
まず1つ目は、相続人の一人が外国に在住している場合です。こういったケースはどう相続手続きを取ればいいのでしょうか。

ケース1 相続人の一人が外国に在住している場合。
日本の昔の移民政策や国際化のために、外国に在住する日本人も数多くいます。
そんな人が相続人になる場合です。簡単な事例でお話しましょう。

Q:お母さんAが亡くなり、相続人は子BさんとCさんです。でもCさんは日本国籍ですが、アメリカ合衆国に永住しています。Aさんの不動産をBさんが取得するという遺産分割をするには、どのような手続きをとればいいのでしょう。
 
A:Cさんが仮に日本に住んでいとした場合は、遺産分割協議書に署名して実印を押し、戸籍抄本と印鑑証明書をBさんに渡してあげれば、Bさんは自分で手続きができます。
では、アメリカに住んでいる場合はどうでしょう。
戸籍は日本でとれます。Cさんから委任状をもらってBさんがとることができます。
印鑑証明は通常取れませんので、代わりに、Cさんにアメリカにある最寄りの日本の大使館や総領事館にいってもらい、権限のある役人の面前で遺産分割協議書に署名し、これに署名証明をもらうことで、手続きが進められます。
もっとも最近は、大使館や総領事館で印鑑登録ができるところもあります。この場合は、印鑑証明書が取れますので、日本に住所があるのと同じ手続きと書類でいいということになります。ただ登録の必要書類として戸籍抄本が必要ですので、Bさんが取ってCさんに送ってやる必要があります。
なお、余談ですが、外国在住の方に署名証明等をお願いするとき気を付けなくてはならないことがひとつあります。大使館・総領事館は、日本で市役所に行くよりはるかに遠くにあることです。ブラジル在住の人のケースでしたが、早く行ってくれと頼んだところ、「飛行機を乗り継いで2日かかるんだ。簡単に言うな。」と怒られた事例を聞いています。
以下は外務省のホームページの署名証明等の説明です。また、世界中の総領事館(住所・電話番号)についてもこのホームページで調べられます。参考にしてください。
 署名証明
 日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し,日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続きのために発給されるもので,申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。
 証明の方法は2種類です。形式1は在外公館が発行する証明書と申請者が領事の面前で署名した私文書を綴り合わせて割り印を行うもの,形式2は申請者の署名を単独で証明するものです。どちらの証明方法にするかは提出先の意向によりますので,あらかじめ提出先にご確認ください。
 日本においては不動産登記,銀行ローン,自動車の名義変更等の諸手続き等,さまざまな理由で印鑑証明の提出が求められますが,日本での住民登録を抹消して外国にお住まいの方は,住民登録抹消と同時に印鑑登録も抹消されてしまいます。そのため法務局や銀行等では,海外に在留している日本人には印鑑証明に代わるものとして,署名証明の提出を求めています。
 平成2141日より,署名証明書の様式等が変更となりました。主な変更点としては,これまでの証明書上の様式では記載のなかった署名者の身分事項の項目(生年月日,日本旅券番号)が加わりました。
発給条件
  • 日本国籍を有する方のみ申請ができます。(注)元日本人の方に対しましては,失効した日本国旅券や戸籍謄本(または戸籍抄本)(もしくは除籍謄本(または除籍抄本))をお持ち頂ければ遺産相続手続きや本邦にて所有する財産整理に係る手続きに際し,署名証明を発給できるケースもありますので,発給条件,必要書類等は証明を受けようとする在外公館に直接お問い合わせください。
  • 領事の面前で署名(及び拇印)を行わなければならないので,申請する方ご本人が公館へ出向いて申請することが必要です。代理申請や郵便申請はできませんのでご注意ください。
必要書類
  • 日本国籍を有していること及び本人確認ができる書類(有効な日本国旅券等)
  • 形式1の綴り併せによる証明を希望される場合には,日本より送付されてきた署名(及び拇印)すべき書類
(注)署名は領事の面前で行う必要がありますので,事前に署名をせずにお持ちください。なお,事前に署名(及び拇印)をされた文書をお持ちになった場合は,事前の署名(及び拇印)を抹消の上,領事の面前で改めて余白に署名(及び拇印)して頂くことになります。
手数料
  • 1通につき邦貨1,700円相当です。お支払いは現金(現地通貨)となります。
(備考)
 在外公館でも印鑑証明を取り扱っていますので,同証明を希望される場合には,申請先の在外公館に必要書類等あらかじめお尋ねください。

                                  (さくらい)

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