福島原発事故とこれからの生活を考えるblog

by原発事故被害者支援司法書士団 team of shihosyoshi to support compensation for nuclear accident victims         

福島第一原発の事故で失ったものは何でしょうか?
様々なものが失われました。
失われたものを取り戻すために、何をすべきなのでしょうか。

原発損害賠償

ザポリージャ原発 戦闘激化

ザポリージャ原発での戦闘激化

ザポリージャ原発は、欧州最大級の原発で、現在、ロシア軍の支配下にある。そのザポリージャ原発で戦闘が激化している。報道によれば、今月の19日夜から20日朝にかけて爆発が少なくとも12回あったという。
こうした攻撃は、重大な原発事故につながりかねない危険な行為だ。
ジュネーヴ条約では、ダムや堤防などとともに原発を武力攻撃することを禁止している。この条約を批准しているロシアは、国際的にそれを順守するべき責任を負っている。
原発の潜在的な危険性を軽視すべきではない。日本も同様。

参考:ジュネーヴ条約第1追加議定書(一部)
外務省hp
第1追加議定書の主な内容

○ 国際的な武力紛争につき、1949年のジュネーヴ諸条約の内容を「補完・拡充」し、新たな規定を追加。
新たな「重大な違反行為」の追加
(A) この議定書に違反して故意に行われ、死亡又は身体・健康に対する重大な傷害を引き起こす次の行為(第85条3)
(a)文民に対する攻撃
(b)文民たる住民又は民用物に対する無差別攻撃
(c)危険な力を内蔵する工作物等(ダム、堤防、原発)に対する攻撃
(d)無防備地区及び非武装地帯に対する攻撃
(e)戦闘外にある者に対する攻撃
(f)赤十字等の特殊標章又は他の保護標章の背信的使用

原子力損害賠償紛争審査会配付資料

下記資料は、以下のサイトで公開されています。
参考にしてください。

原子力損害賠償紛争審査会(第59回) 配付資料令和4年11月10日
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/shiryo/1421518_00016.htm

(審59)資料1 判決等の調査・分析について(最終報告)  (PDF:2.8MB) 
(審59)資料2 中間指針見直しの要否の検討における論点  (PDF:244KB) 

原発賠償の指針、9年ぶりに見直しへ。

原発賠償の指針、9年ぶりに見直しへ。
原子力損害賠償紛争審査会で議論開始

原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)は11月10日、東京電力福島第1原発事故を受けた国の賠償基準となる「中間指針」を見直す方針で一致しました。 
 これは、原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、中間指針を上回る東電の賠償責任を認めた高裁判決が相次いで確定したことを受けています。
原賠審ではこれにつき専門委員による調査がなされ、「判決等の調査・分析について」の最終報告が出されました。「中間指針」を見直す方針は、この報告に基づいたものです。

見直しの論点の内容は、
1.避難指示区域に指定された地域については、過酷避難状況による精神的損害、故郷喪失・変容による精神的損害、相当量の線量地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基礎を置く精神的損害、精神的損害の増額事由―の四つの論点で賠償基準や額を検討する。
2.放射線への不安と着の身着のままによる過酷避難での損害は、慰謝料を算定する上で独立した損害項目とするのではなく、加算要素とするかどうかを検討する。
3.ふるさとの喪失・変容を巡っては、変容による慰謝料が対象となっていなかったため、新たに追加できるか議論する。変容の具体的な内容については個別事情を考慮する。
4.自主避難による精神的損害では、賠償の対象となる時期の変更が必要かどうかを検討する。
5.子ども・妊婦に対する賠償基準については各判決と整合が取れているとの考えで、今後の見直しについては慎重に判断する。
 原賠審の内田貴会長は、見直し時期について「確定判決から8カ月ぐらい経過している。できるだけ早い時期に方針を出していきたい」と述べています。
 以上、新聞・テレビの報道等をまとめました。

福島県の農業はどうなっている❓

福島の農業の今と風評被害
都路2

福島県の農業はどうなっているのでしょう。新聞やネットに出ている情報をまとめて見ました。
1.農業生産物の放射線のモニタリング検査ですが、2015年からは基準値を超えるケースか見られなくなり、2020年からは、概ね抽出検査に変更されています。一部ではまだ全量全袋検査がなされる地区もあります。なお避難指示が出された地域での営農再開は2021年でその面積の約1割にすぎません。

2.次に原発事故前と現在の主要農産物の価格を全国平均からの価格差で比較してみましょう(福島県農林水産部、本県農業をめくる状況平成30年から)。
 米についてですが、事故前の平成19年度は-1.2%(全国平均との比較)で、事故後平成23年は-5.39%、平成26年度は-10.4%、28年度は-4.9%です。
 福島名産モモは、事故前平成19年は-3.9%、事故後平成23年は-42.8%、平成29年は-23.3%です。
牛肉は、平成22年は-4.3%、事故後平成23年は-29.4%、平成28年は-9.3%です。
 価格は回復傾向にはありますが、かつての水準には戻っていません。

3.消費者庁の調査では食品の購入をためらう産地として福島県は2012年3月で19%、2020年3月では11%の人がそう考えているそうです。このことは2.の価格にも影響していると思われます。た、食品の放射性物物質検査が行われていることを「知らない」人は2020年では47%で過去最高だということです。

4.福島県の農産物に対する風評被害が問題にされています。
 「本県農業をめくる状況平成30年」は風評被害の実態として「震災前の価格まで回復しておらず風評により低下した価格水準は実態として固定化」としています。
風評被害とは「間違った情報や意図的なデマだけでなく、根拠の不確かなうわさやあいまいな情報をきっかけに生じる経済的損害である」といわれています。
では3.の消費者の反応は風評被害と言えるのでしょうか。福島県はそう捉えているようにみえます。国も同じでしょう。
私は一概にそうだとは判断できないと思っています。3.の消費者の47%は検査されていることを知らなかったのですが、逆に、それ以外の消費者は検査されていることを知っていると推定することもでき、必ずしも事実誤認しているとは言えないところもあるからです。そして11%の人が福島県を農産物の購入をためらう産地としていますが、私は、この人たちが風評被害を助長していると非難することは直ちにはできません。難しい問題です。皆さんはどうお考えでしょうか。

大熊町 居住状況・避難状況・町内居住者数

大熊町の復興拠点の避難指示が解除(その3)。

大熊町HPから抜粋
令和4年4月1日現在の
大熊町に住民登録がある方の居住状況・避難状況をお知らせします。

居住状況・避難状況
10,110人 4,783世帯
内訳
県内 7,785人 3,6n91世帯 
県外 2,325人 1,092世帯 

町内居住者数
369人 311世帯

(10,110人の住民登録者に対して、
居住者数369人。大熊町の復興拠点の避難指示解除により、徐々にあるいは急激に増えていくのでしょうか。それとも、増加は頭打ちになるのでしょうか。注目していきましょう。)
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写真は大熊町の新庁舎と循環バスの時刻表 2021年3月




大熊町の復興拠点の避難指示が解除(その2)。

大熊町の復興拠点の避難指示が解除(その2)。

8月30日大熊町の復興拠点の避難指示が解除されましたが、これに先立って行われた住民説明会の主な質問・意見の概要をみてみましょう。公表されている説明会資料から要約して引用します。なお、()内は筆者の補充です。
住民の皆さんが、帰還するかのしないのかの判断で、何を気にしているのかが分かります。

1.「放射線」について。(やはりこれが気になりますよね。)
Q:放射線の影響についてはどうなのか。水源が汚染されていないとか、きのこは食べられるのとか、確認しているのか。
Q:今回の解除にあたっての空間線量率の基準は3.8μ㏜/h(でこれを)を下回るということだが、
大川原(大熊町の新役場ができた地区)は.1μ㏜/hだったと思うが…なぜ今回は3.8μ㏜/hなぜなか。…子育て中の母親としては、線量のある場所へ子供を行かせるのはとても不安。
Q:国の基準で1m㏜/年というものがありながら、解除は20m㏜/年というのはダブルスタンダード。
1m㏜/年が達成されるのはいつ頃になるのか。
2.「廃炉」について。
Q:東電からの直接の情報提供が乏しい。説明会でもいいので、東電が直接やってほしい。…原発でなにかあったらと思うと怖い。
3.「生活インフラ」
Q:国は解除要件を満たしたというが、我々はそうは思わない。大熊は大きな町ではなかったが、スーパーや病院もあった。水や電気を通したから帰れるとは思わない。….大きな建物も建ってきているが、我々には関係がない。生活の場が欲しいだけ。
4.「生活循環バス」
Q:循環バスについて、7月から運行ダイヤやルートが変わるが、帰還者には高齢者も多く、自宅近くで降りられるようフリー乗降区間を増やしてほしい。
5.「除染・解体」
Q:解除に反対はしないが、除染・解体済みの宅地と未解体の家屋が混在する状況にある。解除後1年で公費解体が出来なくなるが、その後で解体することになれば、自費となるのか。:
6.「防犯」
Q:駅前に住んでいたが、まだバリケードが張られていた頃に泥棒に入られている。今は安全確保が出来ているのか。

チェルノブイリ原発事故:小児甲状腺がんの発生が5年後から大幅増加

甲状腺がんの裁判が始まりました。(3)
チェルノブイリ原発事故:小児甲状腺がんの発生が5年後から大幅増加

 5月26日、福島第一原発事故の影響で甲状腺がんになったとして6人が東京電力に損害賠償を求めた裁判が東京地裁で開始されました。
 被害状況の参考となるのが1986年のチェルノブイリ原発事故です。チェルノブイリ原発事故での小児甲状腺がんの発生状況はベラルーシやウクライナでは、事故後4~5年ごろから小児甲状腺がんが発生し始め、 15才未満の甲状腺がん罹患率は、1986~1990年の5年間に比べ、1991~1994年は5~10倍に増加したと報告されています。
 環境省HP:  https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-07-24.html

原発は攻撃対象!?

原発は攻撃対象!?

 

ゼレンスキー大統領は、ザポリージャ原発が外部電源途絶で事故寸前と25日夜の演説で述べました。 

 ザポリージャ原発への攻撃は、ロシア、ウクライナ双方で相手方の攻撃であると非難しています。真相は定かではありませんが、攻撃がエスカレートすれば大惨事につながる恐れがあります。

 日本各地に点在する原発も安全保障上のリスクという観点から考えれば、同様の事態が起こりうる可能性を想定した管理が求められるのではないでしょうか。

甲状腺がんの裁判が始まりました。(2)

甲状腺がんの裁判が始まりました。(2)

裁判の争点は、放射線被ばくと甲状腺ガン発病との間の因果関係です。
 まず原告の言い分を私なりに要約してみました。
1. 甲状腺がんの危険因子の一番目は放射線被ばくである。
二番目は遺伝だが原告の家族にこのがんを発病した人はいない。
2. 原告の被ばく量は特定できないが、相当大量の被ばくをした。
被ばく量を特定できないのは国と県が十分な調査・検査をしなかったからで、これを原告の帰すことは極めて不当である。
3. 福島県では小児甲状腺がん発症率は通常の数十倍である。
4. だから、原告の甲状腺がんも原発事故によって大量に放出された放射性物質により生じたとみるのが合理的である。
5. 被告が被ばく以外の原因を立証しないかぎり、事故と甲状腺がんとの間に因果関係があるとみるべきだ。
(参考原告訴状等。訴状は公開されています。https://www.311support.net/

次に東電の言い分を考えてみましょう。
現時点では、残念ながら東電の答弁書はまだ提出されていないので、推定するしかありませんが、以下の点が反論として考えられます。9月の次の裁判では、東電の反論がなされる予定です。
1.東京電力福島第一原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議が、「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」としていること。
2.国連の科学委員会は、「福島県の住民に事故による放射線被ばくが原因となる健康影響が将来的にみられる可能性は低い」、としていることなどが考えられます。

長い裁判になると思われますが、大変大切な裁判なので注目していきましょう。
               (さくらい)

甲状腺がんの裁判が始まりました。

甲状腺がんの裁判が始まりました。

 5月26日、福島第一原発事故の影響で甲状腺がんになったとして6人が東京電力に損害賠償を求めた裁判が東京地裁で開始されました。
 6人は本件事故当時6歳から16歳(年長組が1名、中1が1名、中2が1 名、中3が2名、高1が1名)で、当時の生活場所は、相馬地域1人、 中通り4人、 会津1人です。
 被ばくによる被害を訴えることが、復興を妨げる風評被害がおこる等の非難の声もあり、原告は全員、顔や氏名を公表していません。
 訴訟提起が10年後の今になったことは、このような非難や差別が原因とも考えられます。
(原告の主張等は次回)

13兆3210億円の賠償:旧経営陣側、原告株主側の双方が控訴。

13兆3210億円の賠償を命じられた旧経営陣側および原告株主側の双方が控訴。

東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/192136

 

ところで、この判決には仮執行宣言が付されています。仮執行宣言というのは判決確定の前であっても強制執行ができるという制度です。

従って、この宣言により東電は控訴された場合でも強制執行をすることが可能です。原告はこの宣言を受け旧経営陣四人の財産の差し押さえを東電に求める要望書を送りました。

東電の現経営者が差し押さえの手続きを行うことは予想できませんが今後の成り行きに注目しましょう。

 

原発処理水の海洋放出計画認可。本当に問題はないのか。

原発処理水の海洋放出計画認可。本当に問題はないのか。

 海洋放出が計画されているの処理水は、燃料デブリの冷却水と原子炉建屋およびタービン建屋内に流入した地下水が混ざり合ったものを、ALPS(多核種除去設備)で処理しタンクに貯蔵しているものです。
 7月22日原子力規制委員会が、この処理水の海洋放出計画を認可したことは、先日ここにアップしました。同委員会は安全性に問題なしとしています。
 諸外国の中では、韓国と中国が反対しています。他の主要国からは反対の主張はあがっていないように見えます。また、国内の反対の意見の多くは「風評被害のおそれがある、」が主ですが、本当に安全性に問題はないのか、また他の方法をきちんと検討したのかという疑問も上がっています。
 賛成の意見は、処理水の濃度が国際基準以下であること、韓国と中国も原子炉の処理水を海洋放出していること等を理由としています。
 政治的思惑も絡んでいるせいか、議論は錯綜しており、その是非はよくわかりません。
国民の判断に資するため、論点を明確にし、主張とその根拠がわかりやすい議論がなされることを望みます。   (さくらい)

原発の処理水の海洋放出計画が認可されました。

原発の処理水の海洋放出計画が認可されました。

  7月22日原子力規制委員会は、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出計画について、安全性に問題なしとして、計画を認可しました。
計画では処理水のトリチウム濃度を国基準の40分の1未満にして、海洋トンネルを構築しそれを通して沖合約1キロ地点から放出する予定です。時期は23年春を予定しているようです。
今後の焦点はその工事を開始するために必要な地元自治体である大熊町、双葉町の事前了解が得られるかにあるそうです。
 放出には漁業関係者が強く反対しています。
(各新聞報道から)

「特定復興再生拠点区域」とは…

「特定復興再生拠点区域」とは…

福島復興再生特別措置法の改正(平成29年5月)により、帰還困難区域内に、居住を可能とする「特定復興再生拠点区域」を定めることが可能となった。(参照:福島県HP)
 その後、改正された福島特措法に基づいた「特定復興再生拠点区域復興再生計画」が、双葉町、大熊町、浪江町について内閣総理大臣により認定され、避難指示が解除された。

(大熊町HPから)
計画の意義・目標 (※関係規定:法第17条の2第2項第2号)
大熊町土の復興・再生を実現するため、以下の目標のもと、各事業等を効率的に進め、おおむね5年程度での避難指示の解除による住民の帰還・居住の開始を目指すとともに、町外からの住民(廃炉事業者等)を受け入れる環境を整備する。
 ・生活・社会インフラの復旧・復興及び住環境の整備
 ・企業・研究機関等の誘致及び地元企業の再開
 ・町民のコミュニティ創生及び町外流入者との交流促進
 ・水稲・花卉等の実証栽培及び営農再開に向けた取組
〔避難指示解除による住民の帰還及び居住開始時期の目標〕
 ・平成34年春頃まで
  ただし、JR常磐線、JR大野駅周辺地区の一部と居住制限区域の大川原地区にアクセスする区間等の区域については平成31年度末頃までの避難指示解除を目指す。

住民の帰還:福島、チョルノービリ 2

住民の帰還:福島、チョルノービリ 2
 一方、福島では帰還困難区域が相次いで解除されている。
2022年6月12日、葛尾村の帰還困難区域の一部で避難指示が解除されたのに続いて6月30日には、大熊町の帰還困難区域の一部についても避難指示が解除された。

 これらの政府の決定は、居住禁止区域であった帰還困難区域に住民が帰還可能となる初めてのケースだ。
 大熊町では、約6割が帰還困難区域に指定されていたが、今回、「特定復興再生拠点区域」に認定された約2割の地域について避難指示が解除されることになる。
 ご存じのとおり、福島第一原子力発電所は、福島県双葉郡大熊町および双葉町に位置する。今回解除された大熊町の一部地域とは数キロメートル離れているにすぎない。今回の決定は、事故から36年経過した現在でも住民の帰還が許されていないチョルノービリと比較すると、釈然としない。
           (いしかわ)

住民の帰還:福島、チョルノービリ 1

住民の帰還:福島、チョルノービリ

20222月、ロシア軍がチョルノービリの立ち入り禁止区域に侵入し、施設を掌握した。侵入によりロシア軍の兵士が被爆したのではないかとの報道もある

19864月、チョルノービリ原発は爆発事故を起こした。当時、ウクライナはソヴィエト連邦の一部だったが、事故により大量に放出された放射性物質は、現在のウクライナ、ロシア、ベラルーシ等広範囲に拡散した。事故後、半径32キロの範囲が立ち入り禁止区域として設定され現在に至っている。事故から36年経過した現在でも住民の帰還は許されていないのだ

東電旧経営陣に13兆3210億円の損害賠償命令 2

 東京地裁判決で東電旧経営陣に13兆3210億円の損害賠償の支払いが命じられましたが、下記の代表訴訟の主旨に基づき、賠償金支払いは東電に支払われ、原告の株主に支払われるものではありません。
 通常、訴え(民事訴訟)を提起するためには 、多額の手数料を納めなければならず、それが裁判を起こす一つのネックになっていますが、株主代表訴訟は請求額が多額であっても 1万3000円納めれば 提訴できます。
  仮に今回の 訴訟がこのまま確定した場合、旧経営陣は賠償金を東電に支払う義務が発生しますが、現経営陣が旧経営陣に対して厳しい取り立てを求める かどうかは 疑問が残ります。もちろん、 東電経営陣は旧経営陣に対する債権回収に努める義務が課せられることにはなりますが!
 一方、旧経営陣に対して業務上過失致死傷罪で 強制起訴された刑事訴訟では無罪判決が くだされています。

東電旧経営陣に13兆3210億円の損害賠償命令

福島第一原発事故株主代表訴訟判決

旧経営陣に13兆3210億円の損害賠償を命じる。


(責任追及等の訴え)

会社法第847条

1 6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第189条第2項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第423条第1項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第102条の2第1項、第212条第1項若しくは第285条第1項の規定による支払を求める訴え、第120条第3項の利益の返還を求める訴え又は第213条の2第1項若しくは第286条の2第1項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。


2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。


3 株式会社が第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。


4 株式会社は、第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。


5 第1項及び第3項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第1項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。


原発訴訟初 仙台高裁控訴審判決の纏め

原発訴訟初 仙台高裁控訴審判決の纏め
 原発事故の損害賠償を求める訴訟についての初の高裁判決が、3月12日仙台高裁で出されました。
 原告は、楢葉町、浪江町、大熊町、双葉町、富岡町の住民216名です。東京電力にふるさと喪失損害等24億9000万円(第一審当初は総額133億円)の損害賠償を求めていました。
 控訴審で仙台高裁は、一審の福島地裁いわき支部判決の6憶1000万円を1億2000万円上回る7億3000万円の損害を認めました。
 この控訴審判決の特徴は、東京電力の責任について、第一審のいわき支部判決と異なる判断をしている点にあります。

いわき支部
判決が、「遅くとも2008年4月ごろには津波来襲の可能性を認識していた」、としこれを認めつつも、事故回避の対策を取らなかった対応は「著しく合理性を欠くむとまでは認められない」と述べているのに対し、

仙台高裁
判決は、「東京電力は具体的な対策工事の計画や実施を先送りにしてきた」と指摘し、「痛恨の極み」であると述べ、このことは「慰謝料算定の重要な考慮事情」としました新聞報道等による)。
 そして具体的損害の認定でも、第一審が各慰謝料とふるさと喪失を合算して算定しているのに対し、慰謝料を(1)避難を余儀なくされたこと(2)避難生活の継続(3)古里喪失、に分類し、算定したうえ、古里喪失については、居住制限、避難指示準備区域につき原告1人あたり100万円、避難指示準備区域につき50万円を一審判決に上乗せしました。 帰宅困難区域では600万円が相当とし上積みを認めませんでした。
 なお、本訴訟では国への請求はなされていませんので、判決も国の責任については触れていません(新聞報道等によるものを纏めました)。
            (さくらい)

原発損害賠償に関する情報・消滅時効の現実味増す

原発損害賠償に関する情報・消滅時効の現実味増す
 
時効特例法において消滅時効の期間が10年に延長されましたが、その期限が迫りつつあります。
東電は、現時点では原発事故に関する損害賠償について消滅時効を援用することはないと表明していますが、いつ何時、その方針が変更されるか、破棄されるか、分かったもんではありません。未来永劫、時効援用をしないとは正式に表明していないからです。
 未請求者や請求権のある可能性がある被害者を救済するためには、再度、時効延長をする法の改正が必要ではないでしょうか。


原発事故による損害賠償請求権の消滅時効は、平成25年12月4日に成立し、同月11日に公布・施行された消滅時効特例法において、3年間とされている消滅時効の期間を10年間とすると規定されました。特例法が施行されたことにより、東電は民法の原則である3年の消滅時効を主張することができなくなりました。
原発事故からすでに9年近く経過した現在、2021年から損害賠償請求権が順次時効を迎えるという問題が現実味を増してきました。 
東電は、2019年10月30日、福島第一原発事故に伴う損害賠償について、10年が経過した後も時効を援用しない旨の考えを表明しました。これにより、東電が時効を援用しなければ10年を過ぎても損害賠償が認められることになります。
時効の起算点について東電は、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針を踏まえて賠償請求の受付を開始した2011年9月としています。東電によると避難区域内の損害賠償の未請求者は、2019年6月末現在で約800人とされています。ADRや裁判で避難区域外の被害者への賠償も認められるケースが増えていますので、それを含めると損害賠償を請求することのできる可能性のある被害者はさらに増えることとなります。自治体等は、東電に対して将来にわたって損害賠償請求を拒否しない方針を明文化することを求めています。明文化ももちろん重要なことですが、請求権が消滅しないことを明確にするため、再度、時効延長特例法の改正が必要ではないでしょうか。

原発賠償 迫る「時効10年」 自治体、国へ延長要求検討
東電、時効主張せず 事故10年控え方針公表 原発賠償
2019/10/31 福島民報
「時効後も賠償」明文化を 福島県対策協が東電に要求
2019年11月19日 河北新報

                                  (いしかわ)

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